新着映画レビュー

「ザ・トゥルー・コスト」は社会問題をテーマに取り上げていますが、純粋に映画として楽しめる作品です。
ドキュメンタリーにありがちなお勉強臭さがありません。
それでいて、臭いものには蓋をしろで見て見ぬ振りをし続けてきたものの蓋を開け、映画鑑賞者に現実を見せてくれます。
監督の気づきと提案、それを伝える方便としてのデザイン。
映像の見せ方とそれを補う音楽が、メッセージに柔軟さを与えています。

なにを買うか
どれを選ぶか
その時、大切にするものはなにか
それは言い換えると、どう生きたいかであり、
どう在りたいか、であると思います。
めまぐるしく過ぎる日常を
どう効率よく過ごすか、
そればかりにとらわれていると
指針となる数値、金額が行動決定の動機となり
手にとる服にまつわるものへの想像力が働かない。
それは服だけでなく、食もエネルギーも同様に。
想像力の欠如とは、バーチャル化を意味するのではないかと思います。
人間関係の希薄化ではなく、
情報を多く収集すれば的確な判断ができると勘違いしている、
養老孟司さんが言うところの脳化社会に陥ること。
身体感覚を失くし、バランスを欠いた状態。
土から離れ、
手間ひまかけることを忌み嫌い、
育みが内包する愛情を知らず知らずのうちに手放してきたのではないか。
フランスで起きた悲しみは、
手にした利便さの裏にある悲しみから生まれたのではないかとも思います。
グローバリズムの下に進むグローバリゼーションとどう向き合うか。
新機種が発売される毎に買い替えることは、
一般市民を爆撃することに加担しているのと同意であると思います。
なにを買うか、は
今すぐ始められる急がば回れの大きな一歩だと思います。

大き過ぎる課題が次々と現れる現代、
消極的ニヒリズムに
陥りそうにもなりますが、
この映画が撮られたこと、
日本に広めたいと思う配給会社があること、
上映をしたいと思う人がいて、
それを時間とお金を使って見にきてくれる人がいる。
そこに大きな希望を感じます。

追記
上映回数を重ね、観ればみるほどに考えるテーマを与えてくれる作品です。
自分が一体どういう社会構造の上にいるのか。
そこに疑問を持ったのなら、どんな選択肢があるのか。
経済、環境、人権、産業革命後に見てみぬふりをしてきたもの、
保身による個人主義が作り上げ維持している社会構造と、
それとともにある自分自身の姿を写し出されます。

「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」

渡部建具店さん 16/03/29 09:20

学び

2016/02/29『THE TRUE COST』上映会@Ishinomaki金曜映画館に寄せられた感想を一部ご紹介します。

「難しい相当難しい問題。だからこそ気付いている人から動かなければならない。」
「自分が想像していたよりファッション業界の衣服労働者の環境が悪くてビックリしました。とても考えさせられた。」
「心動かされました。ありがとう」
「フェアで人道的な世界になるようにお金を使いたいと思いました。」
「ファストファッションについてネットの情報でしか知らず、改めて自分が消費者であること、その選択をそう考えていくべきか考えるきっかけになった。」
「A basic introductiion to consumer capitalism.
映画の選択、観客の方々におどろきました
 同時に感銘も受けています。これだけの方々がこの種の映画を見に来られている事はステキな事です。」
「本日、このドキュメンタリー映画を観ることが出来て感謝しています。ずっと心にとめておきたいと考えています。」
「いつも何気なく購入していた。ショックでした。」
「人間の欲を痛烈に感じました。地球規模での問題点を解決したいです。」
「知ることが出来て、衣類を手に取る基準が変わりました。」
「ショッキングな内容でしたが、意識を強く変えてくれました。ありがとうございました。」
「常々消費社会に疑問は抱いていましたが、“洋服”という切り口で接したのは初めてでしたので興味深かったです。
 今日の映画を観て今の途上国の現実は日本が今日に至るまでのプロセスと似ている部分があると思いました。」
「洋服を大切に着ていきたいと思いました」
「洋服を生業にしている身として胸が苦しくなった。どこのだれがどんな風に作ったものを売っているのか知らない。」

「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 16/03/04 14:51

感動 役立ち 学び

なぜピープル・ツリーのコレクションのデザインをしたのか知ってほしい。ザ・トゥルー・コスト を見て!
- エマ・ワトソン(女優) ※本人のfacebook投稿より

「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 16/02/25 17:10

「幸せ」「大切なもの」について改めて考える機会になった。(市民上映会報告書より)

「ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で―」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 16/02/24 11:31

とてもキレイな映像と、引き込まれる内容。ダムのことを通じて、自分自身の身近な問題に置き換えることができた。(市民上映会報告書より)

「ダムネーション」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 16/02/24 11:29

川の流れがいかに大切かよく分かった。(市民上映会報告書より)

「ダムネーション」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 16/02/24 11:27

好きになったパートナーと結婚する権利を取り戻すため
カリフォルニア州に住む同性愛カップル2組が
勇気を持って訴訟を決断し
誹謗中傷に苦しみながらも
家族や信頼する仲間に励まされながら
4年もの長いあいだ裁判を闘い抜き
勝利を勝ち取った
愛のドキュメンタリーである。


これを読んでいるみなさんも
人を好きになったことがあるはず

好きな人と一緒にいたい
愛し合っていれば結婚したい
家族や友人に祝福されたい

誰しもがそう思う

しかし想像してみて欲しい

自分が好きになった人が同性だったというだけで
人を愛する権利を奪われる
公的にパートナーであることを認められない
こんな悲しいことはない

この訴訟を起こした2組のカップルは
この長期に渡る裁判を通じて
同じ想い、悩みを持つ人々の代表として戦い
みんなに勇気を与えた

あなたたちは闘ったから勝つことができた
負けることを怖れなかったから


僕が観に行った劇場は立ち見が出るほど満席で
映画のラスト、正式にパートナーとして認められ
結婚式で祝福されるシーンで
みんなが感動の涙を流した

愛のパワーは素晴らしく無限
心の底から好きであることが
不動と言われるものさえも動かす

偏見がなくなって愛が溢れる世の中になれば良い

LGBTの人が生きやすい社会は
全ての人にとっても生きやすい社会である

上映後のトークショーでの言葉が印象的だった

「ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~」

kyousei1977s@gmail.comさん 16/02/07 23:33

感動 学び 人生変わる 泣ける

「私たちの血で出来た服なんて誰にも着て欲しくありません。」

劇中、バングラデシュの衣服工場で働く女性がインタビューの中で発した一言が胸に突き刺さり、特に印象に残っています。

ニュースでは報道されないであろう、ファストファッションの裏側。

そんな実情がある中、この映画ではフェアトレードブランド「ピープルツリー」のサファイア・ミニーさんの活動に密着していて、アウトドアブランド「パタゴニア」の副社長のリック・リッジウェイさんら、ファッション業界の著名な方々が環境への取り組みや企業の責任について語っています。

行き過ぎた消費社会の影響で、地球規模の環境破壊が起こり、過酷な労働環境が生まれてしまった現実。
それらに憤りを感じながらも、地道に現状を打破するべく取り組む人たちの姿に一筋の光を見ました。

また、衣類も食べ物と同じで、どこでどのように生産され、人間と自然にどのような影響を与えるかなど、それらを知り少しずつでも意識して行動し、人の健康と自然環境に良い方を選択して行くことが大切だと改めて痛感しました。

今からでもすぐできること。

・人や環境を傷つける大量生産の服は買わない。

・服を買う前に必要か不要かじっくり考えて買う。

・ファストファッションの逆、スローなファッション、質が良く長持ちする衣類を選ぶ。

・新品よりまず、リサイクル品をチェックしてみる。

など、一人ひとりのちょっとした心がけで世界は大きく変わるんじゃないかと、この映画に教えられました。


「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」

ミウラパンさん 16/01/18 20:58

役立ち 学び 人生変わる

私はチョコレートが大好きです。
一時期、毎日のようにチョコクロを食べていて、もう若くもないのにこれはイカン!と
一念発起してスイーツ断ちしたことを遠い目で思い出します。(チョコクロは今も食べてません)
フェアトレードに関する映画、ということで上映することにした「バレンタイン一揆」の再生確認をおこなったのですが、
昔からバレンタインに限らずイベント事に全く興味がない私は、冒頭の
「バレンタインは世界中が愛に包まれる日」
というナレーションを聞いてブルーレイディスクを畑の彼方へと鹿煎餅のように投げようかと思いました。
しかし、そんなことしなくてよかった。
映画は、チョコレートの原料であるカカオの主要生産国ガーナへのスタディツアーに参加した18,19歳の女性3人を中心に描かれています。
児童労働の現実と、その状況を改善しようとする大人たちの動き、教育への真摯な姿勢等、
映し出される映像はツアーを疑似体験させてくれます。
現地の人たちの暮らしを目の当たりにした三人の反応も、
同じく不平等なシステムの上に無自覚に乗っている日本人だからか共感することが多く、
それも映画にのめり込めた一因だと思います。
この映画は、
オーガニックかそうでないか、原材料はピュアか、環境配慮はしてあるか、だけでなく、
児童労働といった生産現場への思いを馳せることが大事であると再認識させてくれました。

チョコ好きのあなた、ぜひ一見を〜

「バレンタイン一揆」

渡部建具店さん 16/01/15 21:58

学び

小さな映画館、新年一回目の上映作品は「アリ地獄のような街」だったのですが、
お客さんはゼロでした。

この映画にハッピーエンドなんてものは用意されておらず、
映し出される現実が重くのしかかります。

別の映画「サバイビング・プログレス」を見た人が、悲しいという感想を言ってくれました。
虚無感を感じたそうです。
アリ地獄のような街は、絶望を感じさせてくれます。
現地に住んでいる人が絶望だけを抱いているわけではないことも、映画が描いているものがバングラディシュの一面でしかないことも承知です。
しかし、映画が描いている現実は、アリ地獄のような街の片鱗を手に取るように感じさせてくれます。

映画「ザ・トゥルー・コスト」は安い服を手に入れられる裏側を描くことで、
私たちがどっぷり浸かっている経済の流れを上手く描写していました。
その経済構造の最底辺の一部を描いているのが本作かと思います。

私たちがどういう社会構造の上に立ち日々の利便さを享受しているのか省みませんか。
ゴミのように扱われる子どもたちや女性をみることで自分の立っているところを知って一緒に絶望しましょう。

しかし、ただただ重く突き刺さる現実を前に、自分の役割を探し実行している若い日本人がいます。
それがこの映画を制作したNGOエクマットラの創設者の一人である渡辺大樹さんです。
渡辺さんがどういった想いでエクマットラを創設し、この映画を作られたのか、
動画の中で語られていますので是非ご覧になってください。

http://youtu.be/mNejSnaR4Ow
http://youtu.be/9wiG-cR27JA

「アリ地獄のような街」

渡部建具店さん 16/01/04 12:15

学び

ランキング

伝説的なピアニストでアカデミー賞受賞作『シャイン』のモデルとなったデイヴィッド・ヘルフゴットは、...
この数十年、服の価格が低下する一方で、人や環境が支払う代償は劇的に上昇してきた。本作は、服を巡る...
1953年、アメリカのアイゼンハワー大統領(当時)は、軍産複合体を批判する有名な演説「鉄の十字架」別...
『0円キッチン』はジャーナリストで“食料救出人”のダーヴィドが食料廃棄をなくすため、廃油で走るキッチ...
命の輝き、母の愛、この世界に生きるということ。

水を飲み、大きく息を吸うたびに赤ちゃんへの影響...
1940年代から、完全食品として推奨されてきた牛乳。酪農業を営む家で少年時代を送っていたキャンベル博...
“普通”の人々に出会うために、韓国出身女性監督チョ・ソンヒョンが、韓国人として本来行くことの出来な...
営利目的の途上国開発業者や巨大なNGOなどにより、数十億ドルにも及ぶ「貧困産業」が生まれ、そのなかで...
[作品背景]
2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件が発生。その年の10月にはアメリカを中心とした...
エジプトの市民革命、スペインの大衆反乱、そしてニューヨークのオキュパイ・ウォール・ストリート運動...

※ レビュー数で集計