新着映画レビュー

試写会&監督会見に行って来ました!(一部ネタバレありです。ご注意ください)

プロパガンダか?それとも本当か? チラシのキャッチの問いに答えるなら、「どちらの映画でもある」が私の感想です。つまり、プロパガンダVSリアルの攻防です。

本作に登場する家庭、人物、娯楽施設、工場、保育園他、すべて「当局が用意したリストから私が選んだ」(監督談)そうです。つまり、海外メディア取材対応用に、日頃から鍛え抜かれた面々が登場する映画であることは、もう大前提の作品です。

ですが、その撮影する先々で、北朝鮮のリアルがちょこちょこと露呈されるんですね。そこがとっても「リアル」な部分なのです。

例えば、縫製工場。責任者はインタビューに答え、「労働時間は朝7時から、夜七時あたりまで、ランチタイムは2時間ね」と、にこやかに発言。これ、立派にブラックなのだけど、あちらではこれが常識。なにせ当局お墨付き工場がこうなのですから、他は推して知るべしです。つまり世界標準のアウトがセーフなままの「北のリアル」がこのように顔を出してきます。

また、責任者はさらに、「成果物(衣類)は、中国経由で米国(国名をちゃんと言っていました)や~~などに納品」と、まさかの経済裏事情の「リアル」も暴露。「中国製というタグの衣類には気を付けなさい」というメッセージでしょうか?(笑)
ちなみにこのシーンを巡っては、「当局からカット要請が来たが完成後なので、お金がかかるよと脅したら、諦めた」そうです(監督談)。

そして泣けるシーンです。

本作では、明らかに上流家庭と思われるひとつの家族と、「中の上クラス」と思われる家族の2家庭を訪問しています(たしか)。泣けたのは、「中の上クラス」の家庭の奥様に監督がインタビューしたシーンです。

終始にこやかな表情で、夫との出会いなどをよどみなく語っていたきれいな顔立ちの奥様(この辺はプロパガンダ)ですが、「あなたの夢は?」と聞かれると、しばし沈黙…。にこやかな表情にもうっすら苦悶がよぎります。

おそらくこの質問、台本(当局に事前にインタビュー事項を出しているはずなので)にない、監督のアドリブだったのでしょう(監督の攻めですね)。微妙に間があいて、奥様はやっとこう答えます。

「昔は…、舞台に立つのが、夢でした」。

夢を思い描くことなんてずっと忘れていた、と言いたげな言葉、表情でした。
中高年や高齢者が、夢を即答できる国。
きっとそんな国がほんとうの意味で、幸せな国なのでしょう。

一方、前出の若い工員女性は、即答でした。「いつか独創的な服を作って世界中の人にきてもらいたい」というのが彼女の夢。
でも監督が「デザイナー(日本語とほぼ同じ発音)になりたいのね?」とハングルで聞くと、女子工員は「デザイナーって何?」と聞き返します。監督が説明し、「あ、設計家ね」と工員は理解します。この言葉における南北の差にも、2国家間の歴史の「リアル」が感じられます。

監督はきっと、予定調和な映画になるのは覚悟していたと思います。なにせ相手は優等生発言しか許されていないのですから。その間隙を縫って、いかにリアルを切り取るか。そんなプロパガンダVSリアルの攻防が、散りばめられた作品でした。

「ワンダーランド北朝鮮」

ソラアキラさん 18/05/15 12:28

泣ける

これはジャーナリスティックな報道映画ではない。
現実を写すドキュメンタリー映画ではない。
しかし、ファンタジー映画でも、ましてプロパガンダ映画でも、ない。

試写会を拝見させていただいた。
試写後に監督は、本作の作成前に北朝鮮側の映画会社と事前に幾度も打ち合わせを行い、政治的なものにはしないと約束し、こういう人物を撮りたいと意向を伝え、双方問題ない形で撮影を行った旨述べていた。
本作は、いわば「映画監督」として撮りたいものと、北朝鮮側が見せたい、あるいは見せても構わないものの、最大公約数的なところで生まれたもののように思われる。
では、そこに見るべきものは何もないか、答えは否、である。

「北朝鮮の庶民の生活」との触れ込みを聞けば、飢えや弾圧に苦しむ庶民や独裁体制の恐ろしさを告発するような映像を「期待」してしまう。
他方で、2千万人を超す人々が一国の内で暮らすのであれば、そればかりなはずもない。
この映画に映される人々は、確かに北朝鮮側が映画化されて問題ないと考える比較的豊かな、あるいは「従順な」人々かもしれない。
が、仮にそうだとしても現にそうして生活している人々がいることに変わりはなく、また、そうした人々の生活すらも謎のベールに包まれている。
断片的ながらもそのベールを剥いだ本作は大変興味深かった。

有り体な感想を言えば、日本のテレビによくある、芸能人が田舎や外国を訪ねて現地の人と交流するような旅番組を観ているかのようだった。
政治的な事情を取り払い(あるいは行間に埋めて)、ライトなテイストで見知らぬ生活を紹介する、そんな印象である。

個人的に惜しむらくは、映画に登場する人々が北朝鮮の中で相対的にどのような位置にあるかわからず、例えば平均年収に対してどの程度の年収かなど統計的なデータが有れば、鳥瞰的な視点が加えられたように思う。
それをすると報道的すぎて監督の意図する「映画」ではなくなるかもしれないが。

「ワンダーランド北朝鮮」

あらたさん 18/05/15 01:08

学び

○多様化を受け入れる、勉強する、否定しない。この映画を見れて良かったです。

○自分らしく生きること!難しいけど大切で私達も理解を広めていかなければならないことだと痛感しました。カメルーン、日本、韓国を身近に理解できる子どもたちを育てる一番印象が強かったです。

○HAFUと云う言葉を初めて知った。Halfとばかり思っていた。日本語としてHAFUを使っているのに驚く。

○良い映画を見させていただきました。あまり期待していなかったが見ておどろきました。優劣ではない一人一人そのままの人を見つめて許容することの大切さをおしえられたネ。また見たいですネ。ありがとう。過去の日本は海外の人に対するやさしさはあったと思います。

○多様性を受け入れていける努力をしたいと思った。ハーフとか関係なく、1人の人間対人間として関わっていけたらと思う。

○日本の小・中・高校で、多くのこれからを生きる子供たちにぜひ観てほしい映画でした。多様化する、している日本を知ることから始まると思う。


(市民上映会アンケート回答より抜粋)

「ハーフ」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 18/03/19 10:01

「コスタリカの奇跡」というか題名から、
勝手に泥臭い表現活動によって軍事力を手放すストーリーだと思っていたら、

「小国が大金を払って軍を持つ事は非合理だ」というフレーズを聞いて、
ロジック的な要素を感じました。

僕自身ポイ捨て問題の解決を目的として、捨てない選択肢を提案し続けるものとして、
僕が苦手なロジックな部分も突き詰めれば…と尻を叩かれたようでした。

戦争を終わらせないように裏で操作する組織も、
紐解けば人一人。

ロジックな部分も勉強し、
その一人一人の一挙手一投足にも、
利益だけでなく「人にもたらす豊かさ」という選択肢を与えられるよう、

僕もやっていこうと、改めて感じさせられました。

「コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~」

片野 健太さん 18/03/18 21:55

役立ち 学び

軍事費を減らして、医療費、教育費に回すこと大賛成!!
日本も小さい国で。しかも島国なので、戦争になんてなったら勝てないし、
市民が犠牲になるなんて絶対いやです!平和が一番!!
コスタリカに習ってほしいです!
国会議員全員がこの映画を見るべき。

(市民上映会 参加者アンケートより)

「コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~」

ユナイテッドピープル代理投稿さん 18/03/16 12:36

「全ては認識することから」

大学の講義の一環で鑑賞しました。机上で性暴力について学んではいましたが、実際の映像を目の当たりにすると、ただひたすら言葉を失いました。もし自分が被害者の一人だったら…

20年以上続くコンゴ紛争。その中で年齢や性別を問わず、老若男女が性暴力の被害に遭っており、コンゴは「女性にとって世界最悪の場所」とも言われています。今なお続いているコンゴ紛争を、私が今の今まで知らずにいたことにも衝撃を受けました。作品中で、被害にあった多くの少女たちが将来に希望を見出せずなき苦しんでいる姿を見ると、他人事としては到底受け取れませんでした。

作品中には実際の状況を「ありのまま」に伝えているため、所々に過激な映像もあります。しかしながら、問題をきちんと受け止めることができるという観点から、大変意義のある作品だと思います。

多くの情報がありふれている今日、まず重要なのはそこにある問題をきちんと「問題」として認識することだと思います。是非一度手に取っていただくことを強くお勧めします。

「女を修理する男」

佐藤明恵さん 18/03/09 22:32

学び 人生変わる

「シャイン」主人公のモデルとなった天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットのドキュメンタリー!

子供のように動き回り、誰とでもニコニコ握手してハグするデイヴィッド。
生きる喜びに満ち溢れ、愛らしいデイヴィッドの姿に、奏でる音楽に人々の心は溶かされてしまう。
映画を見ながらほんわかした気持ちでいっぱいになって、思わず笑顔になってしまっていました。

演奏シーンも勿論素晴らしい!!この音は是非劇場で聴いてほしい。
演奏するデイヴィッドは本当に嬉しそう。楽しそう。それはオケの人も観客も。
デイヴィッドのあふれる愛が感染しているみたい。

困難を乗り越え、最大の理解者であり愛する妻ギリアンに支えられ、
人生を楽しむデイヴィッドの姿にとても励まされました。何より微笑ましい2人にほっこり。
こんなふうに生きていきたいなあ。
色々なメッセージを受け取りつつ、幸せな気持ちになれる映画です。



「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」

Tomoさん 18/03/04 01:17

感動 元気 学び 笑える 泣ける

音楽を聞いて心を揺さぶられるということは、勿論、演奏技術によるところもあるが、演奏者の生き方そのものによるところが大きい。デイヴィットの演奏はまさにそれでした。彼の人柄に魅了され、演奏に魅了されるのだと思います。多くの困難を夫婦で乗り越えてきたデイヴィットとギリアン。二人から作られる音楽だと感じます。すべてに感謝という当たり前のようなことが私はできず、都合がいいときばかり感謝をしてきました。日々の感謝を心に刻むことができました。

「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」

peaceさん 18/03/03 12:44

感動 元気 役立ち 学び

デヴィッドはピアノによって精神を病んでしまったけど、
ピアノがある事によって精神が整うんだろな、
とピアノに向き合って弾いているデヴィッドの姿を見て思いました。

いつも明るいデヴィッド。
最初は苦手でもいつの間にか
彼に包まれる感覚になる人たち。
重苦しい空気も軽く明るくなり
ムードメーカーでもありますね。

そして奥様のギリアン。
出会ってすぐにプロポーズされ
デヴィッドのペースを
理解し一緒に歩んでいく姿か
微笑ましかったです。

子供のような大人のデヴィッドに
たまには注意したり
イライラしない余裕が素晴らしいな。


ピアノとギリアンは
デヴィッドには不可欠な存在なのでしょう。

「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」

さん 18/03/03 11:04

元気

素晴らしいピアニストです

「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」

増田明美さん 18/03/03 10:16

感動

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