あなたの知らないガザの人々の素顔
ガザ地区は紛争のイメージが強い場所
しかしここにも日常があり、普通の人々が暮らしている──。
「またいつ壊れてしまうかわからない束の間の平和を生きる日常。限られた自由と抑圧の中で、その運命と向き合う以外に選択肢のない人々の想いが激しく伝わってくる秀作。」
── 吉田美紀 (国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) ガザ地域事務所職員)
「「ガザ」という二文字の向こう側で確かに存在する途方も無い数の不条理、虚無、喪失、葛藤、そして人々を生かす絆や信念に触れられる、貴重な作品です。遠くても出来ることがあると信じて動く、その第一歩目に。」
── 並木麻衣(日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当)
Screening Information
- 2024/11/24
- [ 広島県 ] 映画『ガザ 素顔の日常』
- 2024/11/30
- [ 東京都 ] 『ガザ 素顔の日常』上映&シネマダイアローグ(11月30日(土)東京)
- 2024/11/30
- [ 埼玉県 ] 第三映画館
- 2024/12/01 ~ 2024/12/01
- [ 富山県 ] ヨカワシネマ
News
© Canada Productions Inc., Real Films Ltd.
About the film
東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザでは人々が貧困にあえいでいる。
イスラエルが壁で囲み封鎖したため物資は不足し移動の自由もなく「天井のない監獄」と呼ばれる。
それでも日常を力強く生きようとする人々がいる──。
More info
サーファーにラッパー、40人子どもがいる漁師のおじいちゃんなど個性豊かな人々が登場
あなたはガザ地区と聞いたら、どんな場所をイメージするだろうか?「世界で最も危険な場所」「紛争地」「ミサイル」「戦車」など危険な戦争のイメージを思い浮かべるのではないだろうか?そんなあなたはこの映画で全く違うガザの一面を発見することだろう。穏やかで美しい地中海に面しているガザの気候は温暖で、花やイチゴの名産地。若者たちはサーフィンに興じ、ビーチには老若男女が訪れる。海辺のカフェの飛び切りハイテンションな店主に朝会えば、間違いなく誰もが幸せな一日を過ごせるはずだ。他にもタクシー内で歌う人々やあふれる想いを叫ぶ若いラッパーに、妻が3人、子どもが40人いる漁師のおじいちゃんなどが登場する。こんな個性豊かなガザの人々にきっと魅了されるに違いない。
「平和が欲しい。ただ普通に暮らしたい。」
しかし現実は過酷だ。東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザの住民の約7割が難民で貧困にあえいでいる。イスラエルはガザを壁で取り囲むのみならず、2007年以後は物資や人の移動も制限する封鎖政策を続けており、陸も海も空も自由が奪われたガザは「天井のない監獄」と呼ばれる。2014年と2018年の戦争では、多数の学校、病院、家屋、発電所などが破壊され、多くの命も失われるなど、ここには命の保証もない。それでも日常を力強く生きようとする人々がいる。19歳で現実逃避するためにチェロを奏でるカルマは海外留学して国際法や政治学を学びたいと考えている。14歳のアフマドの夢は大きな漁船の船長になり兄弟たちと一緒に漁に出ることだ。「欲しいのは平和と普通の生活」。ガザの人々は普通の暮らしを今日も夢見ている。
Data
原題 | Gaza | 製作年 | 2019年 |
---|---|---|---|
製作国 | アイルランド・カナダ・ドイツ | 制作 | |
配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 92分 |
Cast & Staff
監督 | ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル | 製作総指揮 | |
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プロデューサー | ブレンダン・J・バーン、ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル、ポール・カデュー | 原作 | |
脚本 | 音楽 | レイ・ファビ | |
撮影 | アンドリュー・マコーネル | 編集 | ミック・マホン |
キャスト |
Review(3)
23/10/17 15:14
23/05/18 09:34
─ 吉田美紀
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) ガザ地域事務所職員
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「封鎖と紛争にさいなまれるガサ。でもそこに生きるのは生身の人間。海で泳いで、おしゃれして。私たちとどこも違わない人。そんな「人」が、パレスチナ紛争下を生きる苦しみ、恐怖、悲しみ、そして希望へのもがき。ウクライナ戦争が起きた今年にこそ、紛争下の「人びと」に目を向け、日本ができることを考えたい。」
─ 土井香苗
国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)日本代表
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「「ガザ」という二文字の向こう側で確かに存在する途方も無い数の不条理、虚無、喪失、葛藤、そして人々を生かす絆や信念に触れられる、貴重な作品です。遠くても出来ることがあると信じて動く、その第一歩目に。」
─ 並木麻衣
日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当
上映会主催者の声
前日までの春めいてきた陽気とは打って変わって、この日は全国的に大荒れの天気となりました。会場である飯南町も、朝から猛吹雪といってもよいほどの荒れようでした。
はじめから観客数の伸び悩みが危惧されました。なるほど天気さえよければ、もっともっと多くの方々に観ていただけたでしょうから、残念な気持ちがないわけではありません。しかし、それでも朝10時からの回には、約40名もの方々が駆けつけてくださいました。そして昼14時からの回には約20名、夜19時からの回には約10名の方々がお見えになりました。うち高校生以下の子どもたちが7名。スタッフの人数も入れると、結果的に77名の方々に観ていただいたことになります。ただチケットをお買い求めいただきながら、おいでになれなかった方々も相当数いらっしゃいました。
飯南町の人口4,450人からすれば、大した人数だというのは、主催したはとぽっぽの会代表の言ですが、まったくそのとおりだと思います。それだけガザへの関心が高いということでしょう。しかし、その関心の高さは、連日の報道によるものであり、それはとりもなおさずガザの状況が悪化の一途をたどっていることを意味しています。パレスチナ保健省の発表によれば、166日目(3月20日)には、死者31,923人、負傷者74,096人に上っています。また7割の家が破壊され、75%の人たちが難民化しているとも聞きます。とすれば、この映画に映っているガザの人たちは、今ごろどうしているのでしょう。そんな思いをみなさんと共有しつつ、映画を鑑賞しました。
ガザの人たちが望んでいるのは、ただただ「あたりまえの生活」を送ること。なのに、その「あたりまえ」を奪われ、それどころか命の危険にさえさらされていることにたいへん心が痛みます。そういった感想が多く寄せられました。
映画の鑑賞後には、特定NPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」からお寄せいただいたビデオメッセージを流し、支援を呼びかけました。
また、2回目の上映後には交流会をもち、その際、やはり特定NPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」からお寄せいただいた、詳細な現状報告を含んだ、やや長めのビデオメッセージを流しました。その中に登場する、兄を亡くし、そしてあまりに多くのものを抱え、耐え忍んでいる13歳の少女に、一同涙しました。その後、活発な感想・意見の交換がなされました。
さらに会場後方には、「ガザへの手紙」のコーナーを設けました。これは、ガザの人たちへメッセージを届けようという、パレスチナ・ヨルダン川西岸に拠点を置くアシュタール劇場の呼びかけに応じての企画です。みなさんから熱いメッセージが寄せられました。
この日ご来場いただいた方々には、もれなく缶バッジをプレゼントしました。凡アラブ色やカフィーヤの柄をあしらったデザインで、そこには次のような文字を記しました、「STOP GENOCIDE」「FREE PALESTINE」。これからも、みんなで声をあげていきたいと思います、虐殺反対、パレスチナに自由を、と。
ちなみに募金箱にお寄せいただいた寄付金は、3万円を超えていました。
今回、上映会に携わった運営メンバー全員、本当にやってよかったという感想をもつことができました。
ありがとうございました。
鑑賞したほとんどの方が、ガザの人々の苦難を目にして、悲痛な怒りや苦しみを抱いて会場を後にされたようですが、アンケートには、ガザの実情を知る機会を得たことへの感謝のことばが多くみられました。日本の平和な生活のありがたさを痛感したという記述も多くみられました。
私たちは水俣市での上映会に参加して、出水でも開催したいと思ったのですが、当会の参加者にも上映の手続きを訪ねる方がありました。このように伝えていくチェーンが続くことを願っています。
映画を見始めてしばらくの間は、綺麗な町並みやビーチ、子どもたちの弾ける笑顔、タクシーのドライバーが仕事前に海を見ながらカフェラテを飲むシーンなどが続き、ガザの日常を生きる人って、私たちと同じだな、と感じました。
でも、それから、ガザを取り巻く惨状や若者の姿、よくみたらガリガリに痩せた子どもたち、難民キャンプを襲う襲撃に、ガザの日常が「異常」であることに気づきました。
この時期にこの映画を見ることができてよかったです。
自分にできることがないか、考えてアクションしたいです。