ガザ 素顔の日常
ジャンル
平和 人権 問題解決 時間 92分
製作年 2019年
監督 ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル
あなたの知らないガザの人々の素顔
ガザ地区は紛争のイメージが強い場所
しかしここにも日常があり、普通の人々が暮らしている──。
「またいつ壊れてしまうかわからない束の間の平和を生きる日常。限られた自由と抑圧の中で、その運命と向き合う以外に選択肢のない人々の想いが激しく伝わってくる秀作。」
── 吉田美紀 (国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) ガザ地域事務所職員)
「「ガザ」という二文字の向こう側で確かに存在する途方も無い数の不条理、虚無、喪失、葛藤、そして人々を生かす絆や信念に触れられる、貴重な作品です。遠くても出来ることがあると信じて動く、その第一歩目に。」
── 並木麻衣(日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当)
VIDEO
© Canada Productions Inc., Real Films Ltd.
About the film
東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザでは人々が貧困にあえいでいる。
イスラエルが壁で囲み封鎖したため物資は不足し移動の自由もなく「天井のない監獄」と呼ばれる。
それでも日常を力強く生きようとする人々がいる──。
More info
サーファーにラッパー、40人子どもがいる漁師のおじいちゃんなど個性豊かな人々が登場
あなたはガザ地区と聞いたら、どんな場所をイメージするだろうか?「世界で最も危険な場所」「紛争地」「ミサイル」「戦車」など危険な戦争のイメージを思い浮かべるのではないだろうか?そんなあなたはこの映画で全く違うガザの一面を発見することだろう。穏やかで美しい地中海に面しているガザの気候は温暖で、花やイチゴの名産地。若者たちはサーフィンに興じ、ビーチには老若男女が訪れる。海辺のカフェの飛び切りハイテンションな店主に朝会えば、間違いなく誰もが幸せな一日を過ごせるはずだ。他にもタクシー内で歌う人々やあふれる想いを叫ぶ若いラッパーに、妻が3人、子どもが40人いる漁師のおじいちゃんなどが登場する。こんな個性豊かなガザの人々にきっと魅了されるに違いない。
「平和が欲しい。ただ普通に暮らしたい。」
しかし現実は過酷だ。東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザの住民の約7割が難民で貧困にあえいでいる。イスラエルはガザを壁で取り囲むのみならず、2007年以後は物資や人の移動も制限する封鎖政策を続けており、陸も海も空も自由が奪われたガザは「天井のない監獄」と呼ばれる。2014年と2018年の戦争では、多数の学校、病院、家屋、発電所などが破壊され、多くの命も失われるなど、ここには命の保証もない。それでも日常を力強く生きようとする人々がいる。19歳で現実逃避するためにチェロを奏でるカルマは海外留学して国際法や政治学を学びたいと考えている。14歳のアフマドの夢は大きな漁船の船長になり兄弟たちと一緒に漁に出ることだ。「欲しいのは平和と普通の生活」。ガザの人々は普通の暮らしを今日も夢見ている。
Data
原題
Gaza
製作年
2019年
製作国
アイルランド・カナダ・ドイツ
制作
配給
ユナイテッドピープル
時間
92分
Cast & Staff
監督
ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル
製作総指揮
プロデューサー
ブレンダン・J・バーン、ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル、ポール・カデュー
原作
脚本
音楽
レイ・ファビ
撮影
アンドリュー・マコーネル
編集
ミック・マホン
キャスト
上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
いい映画でした。さいわい(笑)、せっかくの上映会なのに、観客が私一人しかいなかったので、思う存分、泣き、そして、笑いました。「左翼」的な、「社会派」的な、ドキュメンタリー・フィルムに対しては、どうしてもある種身構えてしまう、悪口は言いたくないが、だから題名は挙げないが、例えば、京都にいる頃に観た、フィリピン、マニラ郊外の「スモーキー・マウンテン」という巨大なゴミ捨て場、その近傍の「スラム」に住む人々を描いたものだったかな、最後のシーンに、元「フクバラハップ」、抗日戦を戦った共産主義者のグループだ、のメンバーだったという老人のインタヴュー、そうして、「彼は依然として、社会主義への信頼を失わない」、とか、「人々の表情は意・外・に・、明るい」とかの、お・決・ま・り・の荘重なトーンのナレーションがかぶさって、エンディングに向かうのだ、・・・、何一つ「解決」への方途、などというものが提示されていないにもかかわらず、もちろん、映画にそんなことができないのは当然のことだ、にもかかわらず、そんな「ハッピー・エンド」にしてしまわないと気が済まないのは、思い切り暗い気持ちにされた観客に、過度の罪悪感による傷痕を残さないための、つまり、安・心・し・て・映画館を出ることができるための配慮、ありていに言えばイデオロギー的な「大きなお世話」だと思っていたが、いまになって思えば、それ以上に、制作者自身の「無意識」の、自分自身が罪の意識にさいなまれることからの、「防衛機制」と読むべきかもしれない、もっとも、その映画が上映された「名画座」は、大阪の歓楽街のど真ん中にあったから、いつも最終回の上映が終わって電車の駅に向かう頃には、ほかならぬ、フィリピンからの出稼ぎの人たちもまじっていたかもしれない、片言の日本語で「呼び込み」をする若い女性たちを、かきわけて進む、という状態になってしまうから、せっかくの「配慮」も水の泡、「現実」の「暗さ」、「解決」などどこにもないこと、を改めて思い知らされ、すっかり酔いを醒まされた気持ちになってしまうのだったが、・・・、その意味でいえば、この映画には、そんな、とってつけたような「希望」は、少しもなかった、制作日程の偶然で、末尾に2018年の戦争の場面が付加された、という事情だったかもしれないが、「赤い三日月」救急隊員の、この、投げ出されたような言葉とあいまって、かといって、ことさらに「現実」の厳しさ、なるもので、観客を「脅迫」するわけでもない、すべてが淡々と描かれているところが、私には、とても好ましいものに思えた、ブレヒトの「異化効果」を持ち出して、知りもしない演劇理論を開陳するわけではないが、制作者は、「解決」を語るべきではないのだろう、それは、全面的に、「読者=観客」にゆだねられるべきものなんだろう、もし、実際に「希望」が見えないのなら、ありもしない「希望」を語るべきではない、むしろ、「絶望」をこそ、正・し・く・、語るべきなのだ、とするならば、この作品は、それに成功しているのでは、などと、いっぱしの批評家みたいに僭越ではあるが、まとめておくことにする。ちなみに、映画の出品国の一つは、アイルランド、国連の各種決議で、か・な・ら・ず・パレスチナ支持票を投ずる、歴史的に、党派を超えた、「国民的」とも言うべき、パレスチナへの連帯を示し続けてきた、ヨーロッパには異例の国であることも付け加えておかなければ。
最後に、「赤い三日月」の救急隊員の語りを、Youtube版、これは、著作権法上、営利目的以外なら自由使用できる、との断り付きで、全編がアップロードされている、の英語字幕から引用し、拙訳を付すことにする、・・・、We want to live. That's it. That's what people need to know. That we don't want to be killed or injured. We simply want to live.
私たちは生きたい。それだけです。みなさんにわかってもらいたいのは、そのことに尽きる。私たちは好き好んで殺されたりけがをさせられたりしているわけじゃない。私たちは、単純に、ただただ、生きたいだけなのです。
...
It's hard. I swear to God, it's so hard. We are not made of iron. We are only human beings. ... I feel angry at everyone who breathes, except for Palestinians.
とても辛いです。神に誓って言うが、本当に辛い。私たちは、鋼鉄でできているわけではないのです。私たちは、ただの人間です。・・・息をする者すべて、パレスチナ人以外のすべてに、怒りを感じます。
今回の上映会は、自分の感想を言葉にするのが比較的得意な方が多かったこともあり、上映後の感想シェア会が盛り上がりました。
何を映して何を映さないか、というのは制作者の意図と感性に委ねられるので、こういう「知られざる姿を映し出す」的な作品を観るときは注意深くならねばならない、けれど…これが現実、私たちと同じ日常の中に、死や爆撃の恐怖が入り込んでいると考えるだけでとても気分が重くなる。
そんな参加者の感想が印象的でした。
日本は今のところ戦争に巻き込まれていませんが、自然災害による被害は多いです。でもこれが、もし人為的に引き起こされた被害だったら…と想像するだけで確かに気が重くなります。
なぜ、ガザはこんなことになってしまったのか。
彼の地に生きる人たちの姿を映画という形では言え知ったことで、その素朴な疑問が改めて浮き彫りになりました。そしてきっと、ガザに生きる人の多くも、同じような疑問を抱いているのではないかと思います。
ガザが海洋国というか、漁師が当たり前にいる街なのだという認識からしてなかったことに気付かされた本作、ぜひ多くの人に観てもらいたいと思います。
急遽開催したガザ関連の3作品連続上映会。
告知から開催まで僅か1週間という弾丸上映会でしたが、たくさんの方に参加して頂きました。
10月7日が「無関心」から「関心」に変わった日だと、後で振り返ったときに思えるよう居ても立っても居られない気持ちで企画を組みました。
はじめて上映会に参加された方の割合も多くNHK松江の取材も入りました。
上映後も参加者同士で語り合ったりして関心の高さがうかがえました。
上映後に視聴者がガザ在住の知人とインターネットで繋がり、5年ぶりに健在が確認されたという嬉しいハプニングで息を呑む時間の共有があり、冬に向けて防寒のためのテントが必要との話があった。
驚きの出来事に予定通りの時間運びにならなかったのは致し方がない。
PEACE DAY 2024 x 第198回銀座ソーシャル映画祭「ガザ 素顔の日常」
国際平和デーの9/21(土)、PEACE DAY 2024 x 第198回・第199回・第200回 銀座ソーシャル映画祭を開催しました。
PEACE DAYに合わせ、初めて1日に3本を上映しました。これまで何度も上映しているガザがテーマの作品3本です。
3回とも、素敵な参加者に囲まれ、良い上映会となりました。
3本の中では一番分かりにくいかと予想していましたが、波乗りをする人たちを中心に、とても理解ある感想が多く、好評でした。
第198回 「ガザ・サーフ・クラブ」
第199回 「ガザ 素顔の日常」
第200回 「医学生 ガザへ行く」
映画を見始めてしばらくの間は、綺麗な町並みやビーチ、子どもたちの弾ける笑顔、タクシーのドライバーが仕事前に海を見ながらカフェラテを飲むシーンなどが続き、ガザの日常を生きる人って、私たちと同じだな、と感じました。
でも、それから、ガザを取り巻く惨状や若者の姿、よくみたらガリガリに痩せた子どもたち、難民キャンプを襲う襲撃に、ガザの日常が「異常」であることに気づきました。
この時期にこの映画を見ることができてよかったです。
自分にできることがないか、考えてアクションしたいです。