あなたの知らないガザの人々の素顔
ガザ地区は紛争のイメージが強い場所
しかしここにも日常があり、普通の人々が暮らしている──。
「またいつ壊れてしまうかわからない束の間の平和を生きる日常。限られた自由と抑圧の中で、その運命と向き合う以外に選択肢のない人々の想いが激しく伝わってくる秀作。」
── 吉田美紀 (国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) ガザ地域事務所職員)
「「ガザ」という二文字の向こう側で確かに存在する途方も無い数の不条理、虚無、喪失、葛藤、そして人々を生かす絆や信念に触れられる、貴重な作品です。遠くても出来ることがあると信じて動く、その第一歩目に。」
── 並木麻衣(日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当)
Screening Information
- 2024/09/21 ~ 2024/09/21
- [ 東京都 ] PEACE DAY 2024 x 第198回・第199回・第200回 銀座ソーシャル映画祭
News
© Canada Productions Inc., Real Films Ltd.
About the film
東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザでは人々が貧困にあえいでいる。
イスラエルが壁で囲み封鎖したため物資は不足し移動の自由もなく「天井のない監獄」と呼ばれる。
それでも日常を力強く生きようとする人々がいる──。
More info
サーファーにラッパー、40人子どもがいる漁師のおじいちゃんなど個性豊かな人々が登場
あなたはガザ地区と聞いたら、どんな場所をイメージするだろうか?「世界で最も危険な場所」「紛争地」「ミサイル」「戦車」など危険な戦争のイメージを思い浮かべるのではないだろうか?そんなあなたはこの映画で全く違うガザの一面を発見することだろう。穏やかで美しい地中海に面しているガザの気候は温暖で、花やイチゴの名産地。若者たちはサーフィンに興じ、ビーチには老若男女が訪れる。海辺のカフェの飛び切りハイテンションな店主に朝会えば、間違いなく誰もが幸せな一日を過ごせるはずだ。他にもタクシー内で歌う人々やあふれる想いを叫ぶ若いラッパーに、妻が3人、子どもが40人いる漁師のおじいちゃんなどが登場する。こんな個性豊かなガザの人々にきっと魅了されるに違いない。
「平和が欲しい。ただ普通に暮らしたい。」
しかし現実は過酷だ。東京23区の6割ぐらいの狭い場所にパレスチナ人約200万人が暮らすガザの住民の約7割が難民で貧困にあえいでいる。イスラエルはガザを壁で取り囲むのみならず、2007年以後は物資や人の移動も制限する封鎖政策を続けており、陸も海も空も自由が奪われたガザは「天井のない監獄」と呼ばれる。2014年と2018年の戦争では、多数の学校、病院、家屋、発電所などが破壊され、多くの命も失われるなど、ここには命の保証もない。それでも日常を力強く生きようとする人々がいる。19歳で現実逃避するためにチェロを奏でるカルマは海外留学して国際法や政治学を学びたいと考えている。14歳のアフマドの夢は大きな漁船の船長になり兄弟たちと一緒に漁に出ることだ。「欲しいのは平和と普通の生活」。ガザの人々は普通の暮らしを今日も夢見ている。
Data
原題 | Gaza | 製作年 | 2019年 |
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製作国 | アイルランド・カナダ・ドイツ | 制作 | |
配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 92分 |
Cast & Staff
監督 | ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル | 製作総指揮 | |
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プロデューサー | ブレンダン・J・バーン、ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル、ポール・カデュー | 原作 | |
脚本 | 音楽 | レイ・ファビ | |
撮影 | アンドリュー・マコーネル | 編集 | ミック・マホン |
キャスト |
Review(3)
23/10/17 15:14
24/01/04 17:32
23/05/18 09:34
─ 吉田美紀
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) ガザ地域事務所職員
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「封鎖と紛争にさいなまれるガサ。でもそこに生きるのは生身の人間。海で泳いで、おしゃれして。私たちとどこも違わない人。そんな「人」が、パレスチナ紛争下を生きる苦しみ、恐怖、悲しみ、そして希望へのもがき。ウクライナ戦争が起きた今年にこそ、紛争下の「人びと」に目を向け、日本ができることを考えたい。」
─ 土井香苗
国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)日本代表
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「「ガザ」という二文字の向こう側で確かに存在する途方も無い数の不条理、虚無、喪失、葛藤、そして人々を生かす絆や信念に触れられる、貴重な作品です。遠くても出来ることがあると信じて動く、その第一歩目に。」
─ 並木麻衣
日本国際ボランティアセンター(JVC)広報担当
上映会主催者の声
未来は一人一人の心のあり方から作られていく。映画を通じて、心に刻まれたものを、対話によって共有することで、小さな種火も少しづつ広がり始めたと思います。
「恐れではなく、愛と平和を元にした選択を続けることが大切」対話会の中で、関根さんからいただいたメッセージです。
戦争で亡くなっている多くの命。一人一人の存在に感謝し、その命に報いるには、私たちが暴力ではなく、愛に生きる選択をすることなのかもしれないと感じています。
映画と対話を通じて、大切な気づきと共感が広がる時間を持てたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
「どうすることもできない、でももっと知りたい考えたい、知らなくてはいけないのではないかと思う」という声に後押しされ、パレスチナへのエールのような気持ちで開催しました。
初の上映会、人が集まるかを一番心配していましたが、やってよかった!と心から思います。
支配と戦争が何をもたらすのかを考え、そしてその中で生きる人々に親近感を覚え、「戦地」ではない人の息遣いを感じる場所としてガザを観れたことが何よりの機会でした。1人で観るよりも誰かと観たいと参加してくださった方もいます。上映後のクロストークでは、参加された方とさまざまな視点を交換し合いました。
上映後に、参加された方にカードをお渡しし思いを書いてもらいました。小学生の書いた「ゆうきをもって、せんそうをやめてほしい」という言葉は世界中に届けたい言葉です。
あまりにも圧倒的な力の差、これまで長く続いているパレスチナ自治区、パレスチナ人への強い抑圧、人権侵害、ここを通らずして10月7日は語れない。
個人では自作ステッカー「フリーパレスチナ」を車に貼って走っていたが、ほかにも何かできないかと
思っていた矢先に、映画上映をしようと思い立ったのだった。
緊急上映まであまり時間もないなか、仲間たちが集まってくれてハチドリ企画を立ち上げ、連携プレーで上映までこぎ着けることができたが、人々の関心も強かった。
今回強く思っていたことは、「いかに上映料金を払える人数を集められるか」ではなく、例え来場に結び付かなくても、チラシやSNSで勧誘する時、相手とパレスチナガザのことを話題に出す、そして少しでも人々の脳裏をパレスチナガザがよぎることを目的に上映会のお誘いをした。
つまり、上映会において、映画を観ることが第一目標ではなく、上映会の外で少しでもパレスチナガザの存在を人々の脳裏に植え付けることが第一目標だったと言っても過言ではない。
当日は託児も設けて活用してもらったが、私の年長の子どもを含め高校生までの若い人々も多くおり(21名。高校生以下無料、報告した上記の参加人数には含まれず)、親御さんには是非映画の途中でも子どもたちに字幕や映画の内容の説明もしてくださいとお伝えし、周りの方の理解を求めた。子どもに今の世界を美しさだけでなく、どう伝えていけるかは大切な親の仕事だと感じる。
エルサレムで国際ボランティア団体(日本国際ボランティアセンター)に所属する日本人の友人にも現地からZoom対談で報告してもらい映画と二本立てで、上映をしたが、映画とともに彼女の言葉は多くの人々の心をざわめかせた。
(といっても、ガザで起こっている阿鼻叫喚の地獄絵図を話してもらったわけではないのだが)
苦しくなったとも思う。
(私たちに突きつけられるものが多くあったからだ)
でも、私は自分にも言い聞かせるつもりで、敢えて言わせてもらった。
「今日のこのざわめきを日常に持ち帰ってざわめき続けていきましょう」と。
ざわめき始めたら、アクションを起こさずにはおれなくなる。
だから、この上映会は終ったが、私たちの小さなアクションは始まったばかりだと強く思う。
完全なる即時停戦を心から願う。
UNITED PEOPLEの関根健二さんを開催地の久留米に呼ぶ。と言うことは決まっていましたが、開催場所やこの映画は少しでも若い方に見ていただきたい!と思い、これらを少しでも叶えられる場所を考え、開催地の西鉄久留米駅近くのスタジオ。
スケボーなどストリート文化とアートが久留米では盛んなので、映画の舞台にもなっているガザ地区にはストリート文化の代表バンクシーの絵が描かれていることを少しでも知ってもらい、ガザ地区に興味を持っていただけるようなチラシ、イベントの構成。
また、チラシを置く場所もバンクシーやアートが好きな方が集まるようなお店に置いたり、大学や駅前でチラシを配ることを行いました。
広報する際、「テレビを見ると自分のこころが持たないから見ないようにしている。」
「見ていても何も出来ないし、政治的な発言をするのは止めてほしい。歴史がわかっていない。支援をするなら、現地に赴く気概でやらないと。」
「テレビを見ない。知らない。戦争は日本では起きない。(国から徴兵されたら)逃げたら良い。」
このような意見もいただきましたが、チラシさえ目に止めず、学校や塾に向かう若い学生さんはじめ、現状を他人事として捉える大人の姿の現状も改めて目の当たりにしました。
映画には様々な予定で来れなかったけど、映画を見に来ていただいた3回の上映で35名(主催者除く)の方以外とも映画から平和について語り、考え合えたこと。
ガザの日常風景から、次回につなげていく話しも生まれてきたこと。
それは大きな成果でした。
ありがとうございました。
私たちに出来ることを、無関心にならないように工夫して平和のイノベーションが起こせるようにこれからも取り組んでいきます。
映画を見始めてしばらくの間は、綺麗な町並みやビーチ、子どもたちの弾ける笑顔、タクシーのドライバーが仕事前に海を見ながらカフェラテを飲むシーンなどが続き、ガザの日常を生きる人って、私たちと同じだな、と感じました。
でも、それから、ガザを取り巻く惨状や若者の姿、よくみたらガリガリに痩せた子どもたち、難民キャンプを襲う襲撃に、ガザの日常が「異常」であることに気づきました。
この時期にこの映画を見ることができてよかったです。
自分にできることがないか、考えてアクションしたいです。