この映画は内容が豊富で、さまざまなポイントでそれぞれが感じることができる作品だと思う。ただ、内容が豊富だからこそ、1回観ただけでは、ひとつひとつの場面を理解できないかも知れない。そこで、今回は、途中で映写を止めて、そこまでの内容を確認したり、他の人の考えを聞いたりする「対話」の時間を入れることにした。そのため、上映時間の105分では終えられず、3時間を要することになった。
映画は一続きで観たい人が多いので、チラシには「対話で深める」とはっきりと書いた。そのせいか、集客には苦戦した。口コミで宣伝もしたが、「意見を言うのは恥ずかしい」「3時間は長い」との意見をいただいて断られたと聞く。でも、やってみなければ分からないので、今回はこの形式で実施することにした。参加者からは、「途中で他の人の意見を聞きながら理解を深められた」「多様な見方があることを知った」という意見をもらい、一定の評価は得られたのだと思う。
事前の関係者ミーティングで、「どうでしたか?どう思いましたか?と聞かれても答えにくい」という意見があったので、まずは、シーンに沿って、どんな場面だったか、何が起きていたかなど、答えられる問いをしてみた。参加者の中に中高校生がいて、彼らがよく発言してくれた。そして、考えさせられる場面の後では、3人グループで話し合ってもらった。3人は少ないと思っていたが、実は3人だと誰もが口を開くことになる、ちょうど良い人数だということが分かった。一旦、話し出すと話は尽きないようで、こういう対話を入れた映画鑑賞会もアリだと思った。
静岡県中部では初めての開催で、どんな人が関心を持ってくれるのだろう、と心配だったが、「この映画、静岡でやってほしかった」という参加者もいて、関心のある人にも届けることができた。参加者数は多くはなかったが、「アニマルぼくたちと動物のこと」鑑賞会を実施する意義を感じることができた。