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おクジラさま ふたつの正義の物語

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おクジラさま ふたつの正義の物語

ジャンル 環境 平和 多様性 伝統文化 問題解決
時間 96分 製作年2017年  監督 佐々木芽生

捕鯨でも、反捕鯨でもない、どっちつかずのいい映画だ!イルカ漁を巡って太地の港を右往左往する人間たちのコメディ。「クジラやイルカが絶滅寸前だと議論をしているが、こんな小さな町こそ絶滅危機にある」というアメリカ人ジャーナリストの科白が光る。
―――ビートたけし

日本におけるクジラ・イルカ漁の問題は、尖閣や拉致問題と同様にナショナリズムの問題になっている。だからこそ政治は硬直する。硬直に抗するためには、多様な視点を知ることが必要だ。様々な視点と視線が幾重にも折り重ねられながら、映画はあなたを新たな視点へと導くはずだ。
―――森達也 (映画監督・作家・明治大学特任教授)

分かり合えないからこそ、向き合うべき時がある。
感情の「壁」が立ちはだかる現代を、「おクジラさま」が飛び越える。
海からやってくる「奇跡」の予感。
―――茂木健一郎 (脳科学者〕

アフリカの辺境の地でも、すでに起き始めているグローバリズムとローカリズムの衝突。いいことも、わるいこともある中で、自分なりにそれを”考えてみること”を提案してくれる映画です。
―――ヨシダナギ(フォトグラファー)

Screening Information

上映会 開催者募集

About the film

紀伊半島南端に近い和歌山県太地町は、人口約3000の小さな漁師町。2010年、この町が一躍世界の注目を浴びた。町で行われているイルカの追い込み漁を批判的に描いたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞したのだ。以来、「クジラの町」として400年の捕鯨の歴史を「誇り」にもつ太地町は、イルカやクジラを保護したい海外の活動家たちからの集中非難の的となる。2010年秋、過激な抗議活動で知られるシーシェパードのメンバーが太地町に降り立ち、小さな漁師町が国際紛争の舞台となった時から、物語はスタートする。

マスメディアが報じてきた二項対立 ―捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人― という単純な図式ではなく、賛否にとらわれない多種多様な意見をカメラは捉えていく。歴史・宗教・イデオロギーの違いや、自分と相容れない意見や価値観を持つ他者との共存は果たして可能なのか?日本の小さな漁村で起きている衝突を通して、世界が今直面しているグローバリズムとローカリズムの対立、そして「ダイバーシティ~多様性の危機」を描き出す。
2010年大ヒットした映画「ハーブ&ドロシー」の佐々木芽生監督が6年がかりで制作した本作品は、2018年夏、アメリカでも劇場公開されて大きな話題を呼んだ。

More info

2010年9月、過激な抗議活動で知られるシーシェパードのメンバーが、黒いドクロマーク付きのTシャツを来て太地町にやってきた。彼らは、メディアをうまく使って世界で最も成功している環境NGOの一つ。南氷洋で日本の調査捕鯨船に体当たりしては新聞やテレビを賑わせ、彼らの「英雄行為」に対して数億円単位で寄付金が集まる。

太地町では12隻の船でイルカや小型クジラを湾に追い込み捕獲する。活動家はその様子をビデオや写真におさめ、ネットで配信。すると非難のメッセージが町役場や漁業協同組合に殺到し、欧米の活動家が抗議に駆けつける。国内外の報道陣が集まり、地元の政治団体が街宣車のスピーカーから片言の英語で活動家たちに脅しをかける。この状況を打開できないかと、太地町代表者と外国人活動家の対話集会が町の公民館で開かれるも、お互いの意見は決して交わらないことを確認するだけだった。

2014年秋、太地町の状況はさらに悪化していた。追い込み漁の季節になると、大勢の活動家が大型バスで乗り付ける。地元では警察、海上保安庁、時には機動隊まで出動して警戒体制が敷かれる。今や TAIJIの名は、「イルカ殺しの町」として世界の隅々まで知れ渡り、ソーシャルメディアなどを通じてネット上で罵詈雑言が拡散している。

絶望的にみえるこの状況の中で、一人のアメリカ人ジャーナリスト、ジェイ・アラバスターと出会う。彼は太地町に住み込み、公平な立場で町や人々を理解しようと奔走するが・・・

マスメディアが報じてきた二項対立 ―捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人― という単純な図式ではなく、賛否にとらわれない多種多様な意見をカメラは捉えていく。歴史・宗教・イデオロギーの違いや、自分と相容れない意見や価値観を持つ他者との共存は果たして可能なのか? 太地町で起きていることは、今まさに世界が直面しているグローバリズムとローカリズムの対立、そしてダイバーシティ(多様性)の危機と重なる。

インターネットとソーシャルメディアを通じて、一瞬にして情報が拡散す時代に、私達はどう世界と対話して行くべきなのか。

Data

原題 A Whale of A Tale 製作年 2017年
製作国 日本・アメリカ 制作 FINE LINE MEDIA JAPAN
配給 エレファントハウス 時間 96分

Cast & Staff

監督 佐々木芽生 製作総指揮
プロデューサー 佐々木芽生 原作
脚本 音楽 デビット・マズリン
撮影 笠原 貴/杉岡 太樹 編集 バーナディン・コーリッシュ
キャスト ジェイ・アラバスター 三軒一高 リック・オバリー スコット・ウエスト

Review(1)

23/11/16 20:17

ひろんた村母屋 さんのレビュー
学び
小学生の娘も一緒に、この対立が一体どうなっていくのか⁉たのしめました。もどかしく、うまく行かない様子、対話や議論のかみ合わなさこそ、みどころのような。そして、自身の、意見が合わない人への対応を振り返り、悶々とするきっかけにもなります。

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上映会主催者の声

上映会を主催された方の声を紹介します
二項対立概念をぶち破る
NGO Tier Pflanze 2019年07月07日
広告を一切かけることなく、目標の集客数に余裕で到達。
やはり時期もあり、大変注目が集まるテーマなのでしょう。

ディスカッションタイムにはたくさんの意見が飛び交い、それぞれの考えを深め合っていました。

多様な立場にしっかりと寄り添っていくこの映画は押し付けがましさも何かの答えの提示も感じることなく、ただ淡々と、問題の本質について問いかけてくるようなものを感じました。

非常に評価されるべき作品で、上映会に申し分ない傑作といえると思います。

Nagatacho GRiD 2019年07月03日
対話を生む素晴らしい作品でした。上映後、参加者同士での話し合いの機会を設けたのですがタイトルにある通り「2つの正義」のぶつかりあいや並行する思いを語っていただく方が多くいらっしゃいました。いま見るべき作品です。

どんぐりの里シアター 2019年07月03日
400年以上前から捕鯨を続けてきた太地町の方々と
そこへ急にやってくるアメリカの環境保護団体の
ドキュメンタリー映画となっていました。
梅雨の時期での上映会となりましたが
しっかり空調を整えておりましたので、観ていただいた方たちには
快適にお過ごしいただけたと思います。

久保山 武 2019年05月28日
①大変感じるものがありました。
感想を皆さんでシェアする時間がとても貴重でした。
②独善的な価値観、正義感で世界が分断されている一つの例。多様な文化、価値観を尊重し、もっと冷静に他者から学び、議論していく必要がある。

③マスコミの情報を鵜呑みにせず、現場の動きについて正しい情報をつかむことが必要だと感じた。

日本語で語られたからこそ
Cinemo倶楽部おおがき 2019年05月26日
小さな町でこんな問題が起きていたことを皆が初めて知りました。また、日本語で語られる住民の言葉が、私たちの自分ごとイマジネーションをより想起させ、鑑賞後の意見交換が今まで以上に活発でした。この映画のスタンスが、登場人物のそれぞれの正義をありのまま表現されていたことも、多様な意見交換につながったのだろうとも思いました。
命に下等と高等があるのか、地域のことは誰が決めるのか、相手をほんとうの意味で知るとはどういうことか、など非常に重要なテーマがちりばめられた良作でした。