<Sole Luna Documentary Film Festival Parlemo 2015 審査員評>
原発事故に苦しめられる人々の苦しみと恐怖を、感情や日々の暮らしを通じて巧みに描いた。
緊張感溢れる優れた編集で魅せる、胸をしめつける物語。
「核のゲーム」がたやすく奪う我々の暮らしと、「低コスト」エネルギーの真の代償を繊細に描いた。
自身と我が子を危険にさらしながらも、冷静に悲劇を記録する監督の勇気ある決断と信念に。
News
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© ホライズン・フィーチャーズ
About the film
Introduction ーイントロダクションー
あの日から変わってしまったこの空の下で、君を抱きしめる——。
生まれてくる命のために、私はどんな未来を描けるのだろう。
これは、わが子とその未来を守る母の、愛と絆の記録。
「あなたを全力で守るから。だからどうか、無事に生まれてきてください。」
そう言って自分のおなかを優しく抱きしめる母。
映画『抱く{HUG}』は、新しい命と、強く美しい母の愛が生まれる瞬間を捉えた、感動のドキュメンタリーです。
監督は、これまで一貫して環境問題や逆境に生きる人々に焦点を置いた作品を発表してきた海南友子。次なる取材地に福島を選び、3.11直後に原発4キロ地点にまで肉薄して取材をしていた海南監督は、その矢先に妊娠していることに気づきます。不妊治療の末、とうに諦めていた初めての妊娠でした。
More info
命の輝き、母の愛、この世界に生きるということ。
水を飲み、大きく息を吸うたびに赤ちゃんへの影響が心配になる。福島で出会った母たちの苦しみが、そのまま自分のものとなりました。そして、生まれてはじめて自分にカメラを向ける決心をするのです。
40歳での初めての出産、そして放射能の不安との闘いの日々。壮絶なつわり、緊急搬送されるまでの激痛。これは年齢のせいなのか、それとも放射能の影響なのか。取材を続けるべき?それとも?
監督は、迷い、苦しみながら自身にカメラを向け続けます。何もかもが変わってしまったこの世界で、母となる意味を記録する為にーーーー。
ここに、ひとりの母親による心揺さぶる魂の記録が誕生しました。
Data
原題 | 製作年 | 2014年 | |
---|---|---|---|
製作国 | 日本 | 制作 | ホライズン・フィーチャーズ |
配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 69分 |
Cast & Staff
監督 | 海南友子 | 製作総指揮 | 南幸男、向山正利 |
---|---|---|---|
プロデューサー | 向山正利、向井麻理 | 原作 | |
脚本 | 音楽 | ||
撮影 | 南幸男、向山正利 | 編集 | |
キャスト |
Review(19)
15/12/22 21:31
15/12/23 07:34
人々の意識や危機感が3.11直後に比べて薄らいでいるように思えてならない。
福島や原発の問題は今も続いているし、解決していないのに。
この映画を見て改めて、
親として子供の未来に対して何ができるのか考えた。
15/12/23 22:46
お母さんの妊娠中の気持ちがリアルに感じられます。現実から目をそらさず、真実に強く向かう母の姿は、お腹にいるお子さんにとって、どんなに心強い生きる力だったかと思います。きっといちばん伝えたいお母さんの想いを、お腹の中でいっぱい感じていたことでしょう。同じ地球を選んだわたしたち、生きる力のバトン、しっかりと繋げていきたいですね!
15/12/24 22:05
3・11の時は日本で子育てをしていたので、自然災害の残酷さ、原発事故の隠蔽された情報のことに腹を立て、目に見えない放射能の恐怖に日々怯えていたことを思い出し少し怖くなった。
海外で生活をしていても、3・11のことは決して忘れたことはない。
この映画をみて、見えない放射能に体をはり、そして悩み続けながら育児に向き合う監督の姿や現地で子育てする方々の姿を目の当たりにした。
放射能の汚染の現実がない海外に住んでいると、平和ボケしてしまったのかのように危機感が薄く、自分がなんなのかと考えてしまう。
この時代に日本に生まれたのだから、現状を受け入れて生活するべきなのか?
少しでも体制が変わるように動くべきなのか?本当に変わるのか?
日本人として逃げられない現実。
まだまだ結論が出ないけれど、ことの重きを理解し、親、一人一人が考えること。
そして子供たちも一緒に考え意見を持つこと。
それが少しでも明るい未来を作れる一歩なのではと感じた。
15/12/25 03:49
あの時から、地元のママ達と(時にはパパや他の大人も)、自分の子供をまず守る日々の食卓の事から、福島の子を保養する活動に陰ながら参加・「政治を変えるには関心を持ち続ける事」「投票率を上げよう」を合言葉にワークショップや選挙前に楽しいイベントをしたり、仲間達で続けています。
最近の政府の暴挙に対しては子供とデモに参加する事もあります。
映画の中で、20ベクレルの壁と戦う福島の母達の思いは、私達の思いそのもので涙しました。
監督の不安・葛藤はとても心に響き、立派な赤ちゃんが元気に生まれた時は我が事のように安堵し、嬉し涙でした。
エンドロールの♪happy birthday♪で止めどなく流れた涙は、今の政府が次々と世に送り出す秘密保護法・安保体制・原発再稼働・世界の戦争へ加担する武器の輸出等への怒りと、母達の願いが届くのかとの子供の未来への不安と、諦めずに地方議会から政府へとでも声をあげ続けていきたいと、決意したりと複雑な涙でした。色々な思いを改めて感じ、身の引き締まる映画でした。
諦めない。「命を守りたい」、という親の思いより大きな思いはそうないと思う。経済を動かしている人も親であったり。これからも小さな動きを大きくして、大きな力をも動かしていけるよう、出来る事から〜☆
上映会主催者の声
この映画を観た後、参加者で以下のような感想を話し合いました。「事故現場から離れていると他人事のように感じる。」「マスメディアで報道されても、体験者でないと分からないと思う。」「資源のない日本においてどうすればよいか難しい問題と思うが、ただただ怖い。」
このことを、監督自身の等身大の映像を通してリアルに追体験し、それぞれ感じ考える上映会になりました。
島根原発稼働の地元合意が進んでいるなか、島根原発から30km圏に位置する米子市での上映でした。
”原発や被ばく”は、決して遠くでおきた過去のことではなく、いまも直面している人々がいて、
自分たちの暮らしとも背中合わせであることを、改めて共有する機会になりました。
誰もが健康に生きるための基準が簡単に緩められ、子供たちを守りたい、という当たり前の想いが受け止められない現実に、胸が締め付けられた、悔しさ、悲しみ、怒り、自分で判断することの大切さ、、様々な声があがりました。
こどもから高齢の方々まで、多世代の方たちとこの映画を観て、感じたことや事実を、もっとたくさんの人たちと共有していきたい、声を上げていくことをあきらめないで続けていきたい、などこれからになにができるか(足元からの自然エネルギー利用、議会傍聴などなど・・・)、ざっくばらんに話すことができ、貴重な機会になりました。
報道されていることが自分事にならずに流れていく時代、少し意識を変えることで、未来の子ども達のために、今、私たちにできることがあるかもしれないと考える良い機会となりました。