朝ドラなどでよく、主人公たちが戦前戦中戦後の食糧難で苦労するシーンが描写されています。幼い頃からそうしたドラマや映画を観て、農地は被害を受けることもなかったのに、どうしてなんだろう、、とぼんやり疑問を感じていました。成長するにつれ、戦後、品種改良がなされて収穫量が爆上がりしたこと、戦争中は種苗を政府が統制していたことなどを知りました。そして今、この映画を観るまで、日本の種苗法が廃案されていたことはもちろん、種苗法自体の存在さえ知りませんでした。とても恥ずかしいことです。当たり前のように、スーパーでお米や野菜を買って調理し、食べていることが当たり前ではないことを実感できただけでも、一歩前進だと、、、。
今回、年明け早々の上映会だったので、出足はいまいちだったのですが、当日、足を運んでいただいた方々から、とても良い内容だった。こんな映画を上映してくれるホールの存在意義は高い!と、お褒めの言葉をいただきました。また、お隣の港北区にある日吉の森美術館の学芸員の方より連絡をいただき、、スヴァールバル世界種子貯蔵庫にも寄贈された原種の籾 (もみ) をかたどった鋳造彫刻を当館に持ち込まれて展示したい旨、ご依頼がありました。今回、準備期間がないためて止む無くお断りしましたが、彫刻家・田辺光彰氏のご子息である田辺館長にご来館いただき、映画を鑑賞されました。(当館の上映会は、朝日新聞の告知記事を見たとのことで、有難い限りです。)前回の上映会も同様ですが、毎月、上質な映画を上映させていただいているお陰で、初めて当館を訪れていただく方方の輪も広がってきました。
アンケートも皆さま熱心に書いていただき、映画の素晴らしさのほか、「種子の映像の美しさに驚かされた」「10年近く前のドキュメントなので、現状を知りたい」というお声もいただきました。
- 辻 信一(文化人類学者)
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多国籍企業によるタネの支配が進むことについて、私が心配していた事をタネの歴史から詳しく紐解き、
現在の遺伝子組換え種子まで 丁寧に描いた良い映画です。
この映画を観ればタネは誰のものか考えさせられます。
私は等しく人類の遺産であって、それを金儲けの道具として囲い込みしてはならないと思います。
- 山田正彦(元農林水産大臣)
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海の向こうの他人事が、
いつの間にか、
私達日本人の足元にも
火をつけているのが見えるだろうか?
国境を超えたマネーゲームが、
種子を農民から取りあげ、
多様性を壊し、
消費者から主権を奪い、
生命に値札をつけてゆく。
この映画は、私たちに気づかせ、呼びかける。
何を口にしているかを知ること
自然とのつながりを取り戻すこと。
「今だけカネだけ自分だけ」幻想から目を覚まし、
動き出した世界中の仲間とともに、
「おたがいさま」という名のタネを、
今すぐまき始めなさい、と。
- 堤 未果(国際ジャーナリスト)
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