3 つの物語、3 つの大陸、目的はひとつ、社会変革。
『エレメンタル』は私たちが生きている時代で最も過酷な環境課題に対峙し解決のために奮闘する、「水のガンジー」「ウォーターマン」と讃えられる著名な活動家のラジェンドラ・シンなど自然と強い絆を持つ3 人の活動を追ったドキュメンタリーである。
VIDEO
Go Project Films
About the film
「水のガンジー」「ウォーターマン」と讃えられる著名な活動家のラジェンドラ・シンは汚染され、死にかけている聖なる川、ガンジス川を蘇らせるため40 日間に及ぶ平和の巡礼の旅に出る。シンは工場を閉鎖することや、ダム建設を止めるための行動を起こし、インド人にとって聖なる川であるガンジス川に人々が敬意を持つようにと願い、行動する。
地球の反対側のカナダ北部では、エリエル・デレンジャーが世界最大の産業開発事業であるタールサンド(オイルサンド)の開発に待ったをかけるため、巨大企業との闘いに挑んでいた。先住民族デネ族出身で若い母のデレンジャーは、暮らしやコミュニティー、はたまた全大陸を破壊する3,200Km にも及ぶキーストーン・XL・パイプライン計画に反対するために家族総出でもがきながらも継続的に挑戦を続けていた。
そしてオーストラリアでは発明家であり起業家のジェイ・ハーマンが、人類が直面する環境問題の解決となる鍵が、自然自身に備わっているということに確信を持ち、数億円単位の出資を求め投資家を探し始めていた。ハーマンは自然界の深遠なる設計に触発され、彼の発明した革新的な機械が地球温暖化を遅らせることが出来ると信じて疑わない。
世界中で環境破壊が進む今、3 つの異なる大陸で、しかし確固とした決意で自然保護のために奮闘する。
これらの3 人のストーリーは、新時代の環境ヒーローの物語である。
More info
●登場人物
ラジェンドラ・シン(Rajendra Singh)
ラジェンドラ・シンはインドのラジャスタン州の7つもの川を蘇らせ、1,000もの村々を干ばつから救ったことから「水のガンジー」「ウォーターマン」と讃えられる著名な水の保護活動家だ。1985年からNGOであるTarun Bharat Sanghを率いている。2001年にはアジア地域で傑出した社会貢献を行った個人や団体に贈られるマグサイサイ賞を受賞。その他も数々の賞を受賞している。2008年にガーディアン紙は「地球を救う50人」の一人に彼を選出した。ここ10年間はインドで最も重要な川、ガンジス川を蘇らせるために心血を注いでいる。シンは自身の名声とガンジス川の浄化を目的として政府が組織したNational Ganga River Basin Authority(NGRBA)のメンバーの立場を使い、ガンジス川のダム建設を止め、汚染水を垂れ流している工場を閉鎖させ、インド中で何千人もの人々を触発し、川の守り手を生み出した。
http://tarunbharatsangh.in/
エリエル・デレンジャー(Eriel Deranger)
エリエル・デレンジャーはカナダのアルバータ州北部のアタバスカ・チペワイアン・ファースト・ネーションの若きリーダーだ。彼女は国際的なNGOや地元コミュニティーと共に水汚染を止めるための活動や、土地の権利保護活動や、タールサンド開発からネイティブアメリカンコミュニティーを守る活動をしている。彼女は物議を醸しているキーストーン・XL・パイプラインを含むタールサンド・パイプラインの拡張についての反対運動を起こしている数少ないネイティブアメリカンである。エドモントンに二人の子供の母として暮らしている。
http://www.acfn.com/
ジェイ・ハーマン(Jay Harman)
ジェイ・ハーマンは自然を真似るバイオミミクリーの分野で活躍する受賞歴のある発明家で起業家である。小さな頃から海に慣れ親しんだ彼は、オーストラリア漁業と野生生物サービス(the Australian Fisheries & Wildlife Service)で働くようになり、密猟者や違法鉱業会社と闘うが、ビジネスの力を使った方が環境を守れると思うようになる。そして彼はパックス・サイエンティフィック社を設立し、エネルギー効率の良い扇風機、ポンプ、そしてミキサーを発明し販売を開始した。ハーマンの自然界の原理原則から学ぶ事業は、成長分野であるバイオミミクリーと呼ばれる。彼は産業界をより持続可能なものとする挑戦を続けている。
http://paxscientific.com/
Data
原題
ELEMENTAL
製作年
2012年
製作国
アメリカ
制作
Go Project Films Production
配給
ユナイテッドピープル
時間
93分
Cast & Staff
監督
ガヤトリー・ロシャン、エマニュエル・ボーン・リー
製作総指揮
プロデューサー
ガヤトリー・ロシャン、エマニュエル・ボーン・リー
原作
脚本
音楽
撮影
編集
ペドロ・コス
キャスト
上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
Rolling20'sシネマ ELEMENTAL 生命の源 ~自然とともに~
何かと闘っている人たちがいた。ガンジス川をきれいに再生したい人がガンジス川を上流に向かって行脚する中で「お前らは何をしてくれるのか?今まで来たやつらも口ばかりで何もしてくれなかった」と対峙する。カナダでオイルサンドのプラントに反対する原住民の人が過激だということで仲間が離れていく。大気の人工的な対流の発明を事業化したい人がなかなか理解者が現れない。
そんな苦労を見せながら進行するこの映画の落としどころはどこに行くのか全く見えない。それが最後に「愛」「癒し」「美味しい水」そんなところにたどり着く、いろんな人がそれぞれの立場や考え方や環境に基づいて「いいふうになりますように」と活動しているのに、ぶつかったり、闘ったり、分かり合えなかったりしている中で、実はみんな同じ「愛」「癒し」「美味しい水」を求めていたんだなと感じました。
とても難しくて何度も見直さないと自分の中に入ってこないような映画で、1回でわかろうとしたらしっかりと入り込まなければならない映画でした。
Rolling20'sシネマ ELEMENTAL 生命の源 ~自然とともに~
3つのストーリーがくるくると回りながら、切り替わって展開するストーリーになかなかついていけなかった。でも、何度も見直してでも「何とか理解して、何かをつかみたいものだ」と思わせる映画でした。
上映終了後1時間、参加者の感想や持論、新たな発見など、さまざまなトークディスカッションがあり楽しくアウトプットできました。
ガンジス川の汚れの酷さや活動家の熱意など、日本にいながら映像を通して擬似体験できるドキュメンタリーは良い経験になりました。
その中でも、「自然界は繁殖、繁栄に楽観的」であることや、「自然破壊的危機によって新たな革新的な技術やプロダクトの発見がある」など、未来に向けて行動する勇気やパワーをもらえる発言が多かったように感じました。
作品の中で、印象に残った1つのキーワードが「楽観的」という言葉でした。
離れている厳しい現実、苦しい活動を行い続けている人たちが、やはり自然界は悩まず淡々と日常を続けている姿をみて楽観的と大きな学びを得ている点がとても印象に残りました。
また、活動や実行をする際にもリーダーシップのあり方も重要なのでは?という考察もありました。リーダーの発言やビジュアル面など、場合によっては逆効果になってしまう懸念点もあり、今後の活動家の新しいリーダーシップについても考えさせられる作品だったかと思います。
今回は環境問題が中心の映画でしたが、持続可能な社会のためには結局のところ、「経済・企業中心の構造」が問題の根っこにあるのではないでしょうか。
労働者自身が気づかないまま労働場所、会社の選択肢がなく、環境破壊に加担してしまっている現状もあると思います。
これからは、商品、企業、人など、「持続可能性」を一つのキーワードとして暮らしに落とし込んでみると、脱プラスチックや環境を汚さない工夫など、1人1人の気づきが大切になると感じています。
まさに、「1人の100歩より、100人の1歩!」皆が次の世代に向けて、どのように手を結べばよいか、考えさせられる希望が持てる映画でした。
『ELEMENTAL 生命の源 ~自然とともに~』の上映会を開催しました。平日の夜とあって、仕事帰りの方が多く、その業種もさまざまでした。
この映画は、環境問題に対して奮闘する3人の人が描かれています。ガンジス川の汚染を食い止めようとするインドの活動家、自然に学ぶテクノロジーで製品開発をするオーストラリアの発明家、そしてカナダの先住民の土地と尊厳を守るために抗議行動をする活動家。
三人は皆、あまりにも大きなものを相手に奮闘していますが、それぞれはひとりの人間でもあります。時には傷つき、落ち込みます。それでも決してあきらめない彼らの姿には、覚悟と信念を強く感じました。
鑑賞後の対話では、皆さんがさまざまな感想をお話してくれました。この3人の姿に胸を打たれ、尊敬の念を感じる方がほとんどでした。決して派手さのない、しかしながら力強い作品でした。
各国の各地で私利私欲にとらわれず、
目の前の問題、足元の課題に対して自分なりに動いている人たち。
利益追求の企業論理と普遍的倫理が、寄せては返す波のように映像に収められていると感じました。
グローバリズムとどう向き合うかという問いに対して、良い悪いと批評して終わるのではなく、自分はどう選択するか。
傍観者でいるのか、それとも主体となるのか、問われてくるような映画でした。