"●日本のダムがどうなっているのか気になっている。スケールは違うが日本でも同じようなことが起きている。日本はまだダムを造るという方向なのでこれからも注目していきたい。
●アメリカの広大な国土がすごいなと思った。今回観るのは2度目だが、電気が必要というだけであれだけの自然破壊をしてよいものかと考えさせられた。色々なケースがあると思うので一概には言えないが。
●自由になった魚のシーンで魚の幸せな気持ちが伝わってきた。
海岸に置かれているテトラポットで海岸線が荒れているのもダムのせいと聞いているので気がかりだ。
利得のために動いている人のいうことはどこでも同じだなと思う。
自然のために「何もしないであげる」ことをするためにアクションを起こした人たちに感銘を受けた。
●以前、チリのパタゴニアに行ってダム反対の人たちと交流してきた。そのときに買ったTシャツ(当日着てきて下さいました)と今日の映画が結び付いた。
ダムネーションの提供はパタゴニアという企業なので チリのダムのことだけでなく全世界に向けて自然保護について発信しているのだということがよくわかった。
企業は個人よりも力を持っているので 責任を感じて自然保護に取り組んでほしい。
テトラポットの話しにも関連があるが 震災後の巨大防波堤についても砂浜がなくなるなどの現実がある。
難しいことだが、いろいろとバランスを取って考えていかなければならないのだと思う。
●ダムにハサミと切り取り線を描いたシーンで、反対するときにはただ敵対するのではなくユーモアも交えていけば効果的なのかもしれないと気づかされた。
地元の自然を守るために反対運動もしたけれど。もっと他の仕方でアプローチすればもう少し反対運動の効果があったのかもしれない。
「電力か魚か」の言葉が印象的。
壊されたダムの澱みで苦しんできた人がいるのだと思うと胸が締め付けられる思いだった。
水があって流れがあって…それが本来の姿なんだと思った。
●最近意識している言葉に「知覚者が責任者」というものがある。
つまり、知った人、気づいた人が考えているだけでなく行動するということ。
台風19号で被害を受けた日高市新堀橋の工事について 工事をする側は渇水期にと考え、魚の生態に詳しい人たちは 11月までは鮎の産卵期なのでやめてほしいと要請していた。
なんにせよバランスを取るのは難しいことだと思う。
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1997年アメリカのエドワードダムで始めて撤去命令が出たとのニュースを聞き、以後ダム撤去の情報を集めてまわったものだ。
2000年、ダムを電力会社から買い取って撤去するというペノブスコット川のニュースが届いたときは、その規模と進度に驚いたものだ。以後細々と次々とニュースは届けられてきたが、それでも届かなかった人たちへ、「ユーモア溢れる映画」という形でその情報が届くようになった。それがダムネーションだった。映像を通じ「あの巨大なダムでも撤去できるのだ」という驚きは確実に広がっているように思う。その驚きはライト兄弟が空を飛ぶ姿を見た時の「人は空を飛べるのだ」というブレイクスルーと似ている。
社会的に手法や技術が洗練されると撤去という選択肢がごく当たり前に選ばれるのだと思う。当然社会に必要とされているダムではなく、問題が多いダムから順次手が入るだろう。多くの事例をもとに、撤去に対するアイディアや手法が次々と生み出されている。
2011年に小樽の奥沢ダムがコストと安全性のためにさらりと用途廃止され、一部撤去された。驚くべきことに、たいして大きなニュースにならなかった。ダム撤去という手段が、センセーショナルなものではなく、改修やメンテナンスのようにごく当たり前の選択肢であって欲しいと願う。管理者がだれであれ、行政が撤去費用を支出するということもまた、問題を解決するために必要な形であり、仕組みは徐々に洗練されていくだろう。なにしろ日本にもまだまだ多くのダム撤去要望地がある。撤去するしないにかかわらず、撤去に関する議論が起きた土地に、この映画が広く届くことを願ってやまない。「撤去はありえないこと」として選択肢にすら入れられず、ただ問題の先送りと税金の無駄遣いとなる対策を選択してしまうのを防ぐことが出来るかもしれない。
2017年夏、私は荒瀬ダムが撤去され戻ってきた球磨川の流れを用いたラフティングやアユ釣り体験のツアーを行う会社を興した。今でも時々ツアーで川の流れの上にありながら、そこにあったあの巨大なコンクリートの塊を思い出し夢ではないかと思うことがある。ダム撤去で戻った流れで遊んだ後、お客様と共にダムネーションを見る。お客様の反応を見ながら、さらなる球磨川の未来を、日本の川の将来を想像する。5年後には、このレビューもまた時代遅れになっていて欲しい。
Reborn代表・リバーガイド 溝口隼平
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