ミッドナイト・トラベラー
ジャンル
教育 平和 政治経済 人権 時間 87分
製作年2019年
監督 ハッサン・ファジリ
アフガニスタンからヨーロッパまで5600km。
安住の地を求めて旅する難民家族が3台のスマホで自らの旅を撮影した前代未聞のセルフドキュメンタリー!
2019年 サンダンス映画祭 ワールドシネマドキュメンタリー審査員特別賞 他 合計23賞受賞 18 ノミネート作品
文部科学省選定作品
社会教育(教材) 青年向き 国際性(国際理解・平和)
社会教育(教材) 成人向き 国際性(国際理解・平和)
(2021年8月17日選定)
©2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
About the film
4人家族、5600km、3台のスマートフォン
2015年、映像作家のハッサン・ファジリはタリバンから死刑宣告を受ける。自身が制作したアフガニスタンの平和に関するドキュメンタリーが国営放送で放送されると、タリバンはその内容に憤慨し、出演した男性を殺害。監督したハッサンにも危険が迫っていた。彼は、家族を守るため、アフガニスタンからヨーロッパまで5600kmの旅に、妻と2人の娘たちと出発することを決意する。そしてその旅を3台のスマートフォンで記録した。妻も元々映画制作に関わっていたし、娘たちには映像教育を行っていた。
More info
故郷を追われて難民となることとは?
ハッサンと家族は、スマートフォンを手に、タジキスタン、トルコ、ブルガリアを経て、安全な場所を求めて命がけの旅を敢行する。砂漠や平野、山を越え、荒野をさまよい辿りついた先で、難民保護を受けられずに苦労することも。ヨーロッパへの脱出は、想像以上に困難を極めていた。人としての尊厳を傷つけられるような境遇を経験しながらも、一家は旅の記録を続けていく。撮影することが、まだ生きているということを確認することであるかのように──。本作は、故郷を追われて難民となるとはどういうことか、その現実が観る者に容赦なく迫ってくるドキュメンタリーだ。
Data
原題 |
Midnight Traveler |
製作年 |
2019年 |
製作国 |
アメリカ、カタール、カナダ、イギリス |
制作 |
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配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
87分 |
Cast & Staff
監督 |
ハッサン・ファジリ |
製作総指揮 |
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プロデューサー |
エムリー・マフダヴィアン、スー・キム |
原作 |
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脚本 |
エムリー・マフダヴィアン |
音楽 |
グレッチェン・ジュード |
撮影 |
ナルギス・ファジリ、ザフラ・ファジリ、ファティマ・フサイニ、ハッサン・ファジリ |
編集 |
エムリー・マフダヴィアン |
キャスト |
ナルギス・ファジリ
ザフラ・ファジリ
ハッサン・ファジリ
ファティマ・フサイニ
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
2日連続上映の初日。参加人数が少なかったので、その分じっくりと話せました。
一般市民が、難民になっていくリアルなその過程。日本に住んでいるとどうしても「難民」が身近ではなく細部ではピンと来ない部分もありますが、もし自分が母国を棄てることになったなら、という頭の体操をするには十分な教材となりました。
そして参加者からポツリと寄せられた「子どもは、どんな状況でも大きくなっていくんだなぁ」という声。確かに見返すと、3年に渡る旅の中で、確実に成長しているのが見て取れました。環境の過酷さに鬱々としてしまってもおかしくない中で、無邪気に遊ぶことを忘れない姉妹の姿が映画を観る人の癒やしとなっているのは誰もが共通して抱く感想だと思います。悲壮感が感じられないのは、意図的な編集の賜物かも知れませんが、登場人物の笑顔と初めとした表情には作為が入り込む余地はないものだと思います。
今回、Cinemo様のサービスを始めて利用して映画鑑賞会を開きました。正直人数は3人と多くの人数を集めることはできませんでしたが、文字や画像だけでは伝わらない難民の現状を映像で伝えられることができて良かったと思っています。
映画が終わった後に鑑賞会に来ていただいた学生にそれぞれ感想を聞き、難民の苦しい現状を見て、衝撃を受けた等の意見を聞くことができ、今後もこういった難民のことについて映画などを通じて多くの人に伝えていきたいと感じました。
普通に暮らしていても、ある日追われる立場になるのが難民への道。比較的年齢の高い層の参加が多く、親が引揚者だった、親類に引き揚げて来た人があったなど、「逃げる、追われる」経験者が身近にある人もありました。当時自分の親も子供で、映画の中の少女が「こんな旅はいやだ」と言った言葉がひびき、切ない気持ちになったという参加者も。
逃げる途中も夫婦だったり子供と親だったりのエピソードも多く、遠い国の話をひとごととして観るのではなく、我が事として考えることができたという意味で、すごくよい作品だったと思います。
距離的にも時間的にも長いアフガン難民の欧州への旅。4台のスマホだけで撮ったとは思えない美しい映像で、過酷な道のりも家族の明るさが救っている。故中村哲さんの地元大牟田での開催で、タリバンの知識も多いペシャワール会のメンバーも来ていて、作品を監督したような知識人と、一般庶民では考え方に差があることを指摘していた。
2月のロシアによるウクライナ侵攻は突然のように感じられたが、少し調べてみると実は何年もくすぶっていた問題の延長線の上に起きたことだったようでした。
わたしの人生で見聞きした最も大きな争いはベトナム戦争だと思ってきましたが、いまではマスメディアに上がらない争いが地球上に降り注いでいたことを知るようになり、いまさらながら近代史から紛争について学び始めています。
私の住む北九州市は朝鮮戦争と深いかかわりがあり、当時は灯火管制も敷かれたことも、ベトナム戦争のときに「OKINAWA」が出撃拠点だったこともずっと後に知りました。ウクライナだけではないパレスチナもミャンマーも世界中の紛争に、世論・個々人が関心を向けるには信頼できるメディアに加え、ドキュメンタリー映画のチカラが有効だとこの10年余の上映活動から感じてきました。
今回は7名の大学生にも上映会に参加してもらいましたが、ほとんどの学生があまり映画を見てはいないと語っていました。
「紛争はウクライナだけで起きていない」との思いから本作を選びました。難民当事者家族から伝わるメッセージの強さに、平和への道のりがいかに難しくともあきらめるわけにはいかないとの思いを主催者、参加者で共有できたと感じています。
「誰の子どもも殺させない」60年安保の時にこの言葉が使われていたそうです。権力を握る立場の都合で命が脅かされ、奪われること、平穏な暮らしが奪われないためにきな臭い世相のこの国で「不断の努力」の一環として御社の配給作品を活用させていただきたいと思います。次はパレスチナの作品にも期待しています。