1948年に軍隊を廃止。軍事予算を社会福祉に充て、国民の幸福度を最大化する道を選んだコスタリカの奇跡に迫ったドキュメンタリー。
About the film
1948年に軍隊を廃止。軍事予算を社会福祉に充て、国民の幸福度を最大化する道を選んだコスタリカの奇跡に迫ったドキュメンタリー
世界には軍隊なしで国の平和を保ってきた国々がある。そんな数少ない国の一つで、1948年に常備軍を解体した国がコスタリカだ。コスタリカは軍事予算をゼロにしたことで、無料の教育や国民皆保険制度を実現し、環境のために国家予算を振り分けてきた。その結果、地球の健全性や人々の幸福度、そして健康を図る指標「地球幸福度指数(HPI)」2016の世界ランキングにおいて140ヶ国中で世界一に輝いているのがコスタリカである。またラテンアメリカで最も安全とされている国でもある。
『コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~』は、1948年から1949年にかけて行われた軍隊廃止の流れを追いながら、コスタリカが教育、医療、環境にどのように投資して行ったのかを詳しく説明する。アメリカでは公的債務、医療、そして軍事費が日増しに増大していっていることとは対照的だ。この映画は軍隊廃止を宣言したホセ・フィゲーレス・フェレールや、ノーベル平和賞を受賞したオスカル・アリアス・サンチェスなどの元大統領や、ジャーナリストや学者などが登場する。世界がモデルにすべき中米コスタリカの壮大で意欲的な国家建設プロジェクトが今明らかになる。
More info
1953年、アメリカのアイゼンハワー大統領(当時)は、軍産複合体を批判する有名な演説「鉄の十字架」別名「平和に機会を」で「世界は別の道を選ぶことはできないのだろうか?」と問いかけた。今日のコスタリカに、その「別の道」を見いだすことができる。
コスタリカは1948年に常備軍を撤廃。1949年には憲法にも規定された。以来、軍隊に頼らず、条約や国際法、そして国際機関との関係を強化しながら国際的な関係性の中で独自の安全保障体制を構築していった。
莫大な予算が必要となる軍事費の支払いから開放されたコスタリカは、この予算をよりよい教育や国民皆保険制度の実現のために振り分けてきた。1948年12月1日に軍隊廃止を宣言したホセ・フィゲーレス・フェレールの「兵士よりも多くの教師を」というスローガンは有名だ。
このように、コスタリカは国際的な連帯や国際法を基にした平和国家建設への道を決断し、70年近く常備軍を持つことなく平和を維持し、繁栄してきたのだ。本作は、コスタリカを根底から揺るがした1948年の内戦の頃から軍隊廃止までの道筋を紹介する。コスタリカはこれまでの数十年で幾つかの重大な危機を乗り越えてきた。しかし、現在直面する危機が最も手強いものかもしれない。
「20世紀半ば、ホセ・フィゲーレス・フェレールが非武装を「制度化」した。
その後継者たちは、教育や医療、福祉を充実させることで、非武装を「文化」
にまで昇華させた。
21世紀の現在、彼らは環境問題に取り組むことで、その文化をさらに発展させようとしている。」
- 足立力也(『丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略― 』著者)
「改憲をめぐって自衛隊の存在が論じられている今こそ、70年前に軍隊を解体したコスタリカの画期的な取り組みから学ぶべきことが大いにあります。日本の全国民にぜひ見て欲しい貴重なドキュメンタリーです。」
ー ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
Data
原題 |
A BOLD PEACE |
製作年 |
2016年 |
製作国 |
アメリカ・コスタリカ |
制作 |
ソウル・フォース・メディア、スパイラル・ピクチャーズ(制作協力) |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
90分 / 57分 |
Cast & Staff
監督 |
マシュー・エディー、マイケル・ドレリング |
製作総指揮 |
|
プロデューサー |
マシュー・エディー、マイケル・ドレリング |
原作 |
|
脚本 |
|
音楽 |
|
撮影 |
|
編集 |
|
キャスト |
ホセ・フィゲーレス・フェレール
オスカル・アリアス・サンチェス
ルイス・ギジェルモ・ソリス
クリスティアーナ・フィゲーレス
|
上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
今回は11人の方に来ていただきました。
内戦後の非武装という選択、アメリカからの度重なる圧力にする中立宣言、国際社会へ働きかけと中米和平合意成立を経て、国民に平和国家としての誇りの精神を根付かせたコスタリカの歴史と新たに直面している問題についての映画でした。こんなに文明が発展した世の中で、いまだに戦争のような原始的な、倫理道徳的にも環境的にも極めてよくないことが行われ、政治の中に武装や自衛の仕組みが組み込まれていることが理解できませんが、アメリカの永久軍事経済という状態がその原因の一つなのかと思いました。軍事に使うお金をゼロとし、その分を教育や医療にまわすやり方はまったく理に適っていると思いました。平和が平等に根付いているという考えの下で行われる政治にグローバリゼーションによる格差拡大が暗い影を落としていることも印象的でした。
鑑賞後のディスカッションでは、日本の政治に関する話になりました。どの国も自衛のための武装を放棄するべきだと思いましたが、日本がコスタリカのようにできるかというとそういうわけではないという話も出ました。政治経済の話は複雑で勉強不足ですが、政治はもっとシンプルにはなれないのかなと思いました。日本のような投票率の低い国は民主主義国家とは言えないという話も出ました。国が変わるためには、政策ではなく国民が立ち上がることだという意見は印象的でした。
・当初コスタリカをテーマにした伊藤千尋講演会と同日開催を予定していましたが、講演が前日となったため、参加者数が分散し予定より少なくなりました。しかし、評判を聞きつけて遠方より参加したり、講演を聞き翌日の映画も見に来たりした人もいました。
・コスタリカ共和国と日本の大きな隔たりに愕然とした感を持った人も多く「どこで違ってきたのか、どうすれば憲法を活かす国になるのか」など映画を見た後の会話が盛り上がりました。これまでの70年はコスタリカのみの「奇跡」ではあったが、世界の世論を信じて武器を捨てたコスタリカの先駆的歩みが、世界の人々に大きな確信を与え、武器なき世界を声高々に目指す時代に入った思う。
・作品としては、初めて見る人にとって字幕スーパーを負うことに難しさを感じました。(日本語吹き替え版ができると良いと思います。)
コスタリカは、1948年に軍隊の廃止を宣言し、軍事予算を社会福祉に振り分けることを進めて70年位以上。しかも「地球幸福度指数」調査において、何度も世界一位を取っていることも注目です。
軍隊を捨てて幸せになる、このようなことが「可能」なわけです。今の日本そして世界に必要なのは、発想の転換だと思います。既成概念・既得権にとらわれない新しい発想が未来を変えられるのだと思います。多くの気付きをもらった映画でした。
また、映画の後は、いつも通り楽しいシネマダイアログで盛り上がりました。平和や幸福について、はたまたジェンダーについてなど・・・話は尽きることがなく、来場のみなさまにも満足いただき、とても有意義な上映会となりました。
大学内での上映会だったため、学内を中心に地域や口コミで告知を行いましたが、予想以上に大勢の方が見に来てくれました。特に現役大学生の参加がいつもに比べて多く、感想からも、しっかりと内容を捉えている様子が伺えました。以前から見たかった映画ということで来場された地域の方もいらっしゃいました。
上映後、伊藤千尋氏にご講演いただき、映画だけではわからないコスタリカの教育や様々な国の背景についてお話いただいたことでさらなる理解が深まり、大盛況な企画となりました。
小さな国ながら、軍事予算を福祉や教育に当てていくという、頭で考えたら簡単な話だが、色んな抵抗勢力がありながら、実践していけるコスタリカの国の人々の力強さを感じた。
映画”コスタリカの奇跡”、何度も何度も繰り返して観ました。
1948年には既に軍隊を廃止したコスタリカ。その後、約70年、どのように平和を維持してきたか。
他の国が攻めて来たらどうするの?そして、実際にアメリカが戦争に参加するように求めてきた時に、中立宣言。
軍を開放、中立宣言、簡単ではないけれど、出来る。
戦争反対って言うだけじゃ、何も変わらないけど、平和エネルギーを発信する人の数が増えれば、何か変わるはず。
この映画には問題を平和的に解決するヒントがいっぱい詰まってます。
家族、友達。みんなにコスタリカからの平和の作り方を受け取ってもらいたいです。
映画の中で、女の子が ”コスタリカ人は毎日をあるがままに受け入れて、楽しんで流れに合わせて生きている” と言ったのが印象的でした。
でも、しっかりとした平和主義が若い世代の中にも根付いていて、いざというときにははっきりとNoといえる国。
コスタリカ人はコスタリカ人であることをとても誇りに思っています。そして国民の幸福度世界1。
移住して4年。私もコスタリカのことをどんどん好きになってきています。これからもっとこの国のことを知りたいです。
この映画に出会えた事に感謝です。
Miho Beaux,