この作品では、シリア市民の苦難を黙殺するな、とその場に引きずり込まれる感じがあります。
スクリーン脇に覗く穏やかな夜の景色は、救われる人、平和へ感謝の念を持つ人、シリアを他人事にしようとする人等々、自身についてを強く認識させたようでした。
*写真は開場前の夕刻
サッカーボールを銃に持ち替えた青年
非暴力を貫きカメラで記録し続ける青年
戦争のなかに生きるシリアの若者たちを追った命懸けのドキュメンタリー
数字では決して伝えられない、人の痛み、悲しみ。誰が最も傷ついているのか見逃さないように。そんなメッセージが、映画いっぱいに込められている。(安田菜津紀 フォトジャーナリスト )
怖いのは、一度人を撃ったら、二度目はためらわなくなっていること。次第に目の輝きも表情も失われていきます。漢字で表せばたった 2 文字の「戦争」ですが、それが植え付けるものは計り知れません。(サヘル・ローズ 女優)
私たちが目撃すべきは、戦場と化したシリアじゃない。そこに至るまでの過程なのだ。世界は殺戮を止めるために全力を尽くしたか?そう問い詰められる強烈な映像の連続に息をのむ。(高遠菜穂子 イラク支援ボランティア)
内戦が続くシリア。「シリア革命の首都」と呼ばれる街ホムスで、2011年8月から2013年4月にかけて、2人の青年を中心に追ったドキュメンタリー。1人は当時19歳で、サッカーのユース代表チーム、ゴールキーパーをしていたバセット。もう1人は24歳の有名市民カメラマン、オサマ。当初、平和的な民主化運動を展開していた2人だが、終わりのない暴力の連続に、ついに武器を手に取る…。
2011 年に始まった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の波。その影響を受け、シリアでも 2 人の青年が立ち上がった。サッカーのユース代表チームでゴールキーパーとして活躍していた当時 19 歳の青年 バセットは、そのカリスマ性から若者を惹きつけ、平和を訴えるシンガーとして民主化運動のリーダーになっていく。彼の友人で、有名な市民カメラマンである 24 歳のオサマは、デモの様子を撮影し、インターネットで公開することで、民主化運動を広げようとする。バセッ トは歌で、オサマは映像で、それぞれ非暴力の抵抗運動を先導していたものの、2012 年 2 月、政府軍の容赦ない攻撃によってホムスで 170人もの市民が殺害されたのを機に、バセットと仲間たちは武器を持って戦い始める。彼らはなぜ戦い続けるのか、生きることとは、戦争とは、ふるさととは......。シリアの民主化運動の中で生きている人々の“リアル”を映し出した作品。
原題 | Return to Homs | 製作年 | 2013年 |
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製作国 | シリア、ドイツ | 制作 | |
配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 89分,53分 |
監督 | タラール・デルキ | 製作総指揮 | |
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プロデューサー | オルワ・ニーラビーア、ハンス・ロバート・アイゼンハウアー | 原作 | |
脚本 | 音楽 | ||
撮影 | 編集 | ||
キャスト |