《クラクフ国際映画祭2021》国際批評家連盟賞
《AJB DOC 2022》メイン賞
《チャグリンドキュメンタリー映画祭 2022》ベスト国際ドキュメンタリー賞
《CPH:DOX 2021》DOX賞ノミネート
《ベルリン・ヒューマンライツ映画祭》ベストドキュメンタリー賞ノミネート
子どもに罪はない。せめて孫だけでも救いたい。
娘がISIS(イスラム国)に参加し死亡。
遺された孫7人を救いたいと命がけの旅に出た男性の真実のヒューマンドラマ。
©Rena Effendi
About the film
世界を恐怖に陥れたISIS(イスラム国)は、とあるスウェーデンの家族を引き裂いていた。ミュージシャンのパトリシオ・ガルヴェスの娘、アマンダは元妻と共にイスラム教徒に改宗。スウェーデンで最も悪名高いISISメンバーと結婚し、2014年にシリアに密航してしまう。帰国の説得は上手くいかなかった。そして2019年、ISIS掃討作戦で夫婦共に殺され、1歳から8歳の7人の幼い子どもたちが遺された。「娘は救えなかったが、孫は救いたい」。決意を固めたパトリシオは、たった一人で危険を顧みずに孫の救出に乗り出していく。孫がシリア北東部のアルホル難民キャンプにいることを知り彼は、スーツケースにおもちゃや靴を詰め込みシリアとの国境近くのイラクの都市へと向かう。SNSでは「敵の子どもたちを連れて帰るな」など大量の批判があった。危険で衛生環境も悪い難民キャンプから、孫を救い出すために自らシリア入りすることにしたパトリシオ。果たして無事に孫を救い出すことは出来るのだろうか?
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娘がISISメンバーと結婚しシリアへ密航
世界を恐怖に陥れたISIS(イスラム国)は、とあるスウェーデンの家族を引き裂いていた。ミュージシャンのパトリシオ・ガルヴェスの娘、アマンダは元妻と共にイスラム教徒に改宗。スウェーデンで最も悪名高いISISメンバーと結婚し、2014年にカリフ国家建設に加わるため、シリアに密航してしまう。帰国の説得は上手くいかなかった。娘から支援を求められたが、ISISにお金が渡る恐れがあるため支援出来なかった。そして2019年、ISIS掃討作戦で夫婦共に殺され、1歳から8歳の7人の幼い子どもたちが遺された。「娘は救えなかったが、孫は救いたい」。決意を固めたパトリシオは、たった一人で危険を顧みずに孫の救出に乗り出していく。
難民キャンプに残された罪のない子どもたちを救いたい
毎晩、シリアから逃れてきた子どもたちの大量の写真を確認するのが日課となった。援助団体に連絡を続けていると、孫がシリア北東部のアルホル難民キャンプにいることが判明。パトリシオは、スーツケースにおもちゃや靴を詰め込みシリアとの国境近くのイラクの都市へと向かう。SNSでは「敵の子どもたちを連れて帰るな」「孫と一緒にシリアにいろ」など大量の批判があったが、「子どもたちには罪はない」と諦めなかった。スウェーデン当局も解放に前向きにならないなか、危険で衛生環境も悪い難民キャンプから、孫を救い出すために自らシリア入りすることにしたパトリシオ。果たして無事に孫を救い出すことは出来るのだろうか?
Data
原題 |
Children of the Enemy |
製作年 |
2021年 |
製作国 |
スウェーデン・デンマーク・カタール |
制作 |
シネニックフィルム |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
97分 |
Cast & Staff
監督 |
ゴルキ・グラセル・ミューラー |
製作総指揮 |
ジョン・バトセック、アニカ・ヘルストロム |
プロデューサー |
クリストフ・ヘネル、エリカ・マルムグレン |
原作 |
|
脚本 |
ゴルキ・グラセル・ミューラー |
音楽 |
リサ・ノードストロム |
撮影 |
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編集 |
オーサ・モスバリ、カスパー・レイク、ソーレン・B・エッべ、エリカ・ゴンザレス |
キャスト |
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
重いテーマであった。
スウェーデンというと、こどもの権利にも日本以上にセンシティブであると思いますが、その国においても、困難な課題。8万人の子どもたちが難民キャンプにいて、そのうち約80人がスウェーデン人の親を持ち、7人のこどもがスウェーデンに戻れたが、他の子どもたちはどうなっているのだろうか?
イスラム国に参画してしまった娘さんのことについて、主人公である父が「何が間違ったのか」自問する。そして、「何もできず、娘は失ったが、孫は絶対失わない」この悲痛な叫びのような思いからの行動力が、マスメディアの力も借りつつ、政府を動かしたのだ。
下川すまっこシネマ 2024.22月上映会 「“敵”の子どもたち」
難しいテーマの映画にもかかわらず、思ったよりも多くの方々が見にきてくださいました。
答えのない難しいテーマだけに、参加者の方々の感想も様々でした。
▼参加者の感想▼
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今までいろいろな「すまっこシネマ」の作品を見ましたが、環境問題などは現状認識と行動変化で明るい未来が見えそうな感じがしたけれど、今回の映画は出口が限りなく見えない感じがしました。家族を思う主人公の粘り強さは伝わってきたけれど、その背景にある、宗教観の違い、マスコミ・SNSの動き、国家間の駆け引き、NGOや様々な団体の動き、それぞれの思惑、根が深くて、ハッピーエンドにはつながらないと思ったのが、今回の映画を観た感想です。
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ISISの問題は当時よく報道されていたのは覚えているが、当然、事後に映画のような問題がおきているはずなのに あまり実感はなかったので、非常に考えさせられた。
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世界の一部で起こっている争いの中で、複雑な環境にいる子供達がいることを初めて知りました。子供に罪はなく、またイスラム教自体もいけないのではないのに、相手国は悪のように扱ってしまうその気持ちも、また反対にイスラム信奉する側の気持ちも両方わかる気がして辛いと感じました。
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子どもがもう少し大きかったら叶わなかったのではないか。
娘が幸せならどんな宗教でも構わないという言葉が印象に残った。
人間の愛と尊厳、宗教観など、さまざまなことを考えさせる映画でした。主人公の人間的な思いやりと母性の深さに感じ入りました。彼の行動力に心打たれたとの感想を書いた方もいらっしゃいました。特に日本人の宗教観と反戦観に思いを馳せる高齢者の方々が多かったと実感します。中には、リアルすぎるとおっしゃる高齢女性もいらっしゃいましたが、平和で暖かいところから、上から目線で鑑賞するのではなく、自分事ととして映画を観て社会情勢を知ろうとする真摯な気持ちの表れであると思い、逆に、その誠実さに胸を打たれました。
宗教上の対立から終わりのない紛争の起きているさなかでもあり、今だからと関心を持ってきてくれた方もありました。過激派テロ組織の子どもたちへの対応が浮き彫りとなる本作品のアフターシェアでは、主人公の気持ちを追って鑑賞するだけでなく、国家間の許認可やさまざまな思惑、家庭内の宗教対立、国民感情その他いろいろなことが話題になりましたが、共通して、この7人以外の子どもたち、難民として収容された人々が今後どうなっていくのか気にかかるとの声がありました。また、7人がフィンランド人としてパスポートを受けられたことで困難の中に一縷の「救い」を感じた人が多かったようです。
「世界が平和でありますように」そう祈らずにはいられません。この時期に上映できてよかったと感じています。