2021年度第11回目となる今回の協力隊ナビでは、「戦火のランナー」のオンライン映画上映と国境なき医師団 川内氏による講演会を行いました。当日は23名の方にご参加頂きました。
映画「戦火のランナー」はスーダン、南スーダンを主な舞台としたドキュメンタリー映画です。スーダンで生き延びるために走った主人公の彼は、その後難民としてアメリカに移住しその「走る」という行為によって人生を切り開いていきます。彼が、南スーダンのオリンピック代表になるまでの軌跡を描いたこの作品は、ちょうど冬期オリンピックが開催されている今月のイベントにぴったりという事で、この度の上映に至りました。
映画の中で多くは語られませんでしたが、映像から見て取れるスーダンでの生活は察するに余りある悲惨さで、主人公も命からがら逃げ伸び、主人公は彼以外の兄弟7人全てを失っています。しかし、そんな中に於いても祖国を思い、そこに生きる人たちの想いを背負って走る彼の姿を応援せずにはいられませんでした。スーダン・南スーダンの方々が経験してきた過去は、私たちの生きる日本とはかけ離れており、自分事として捉えるには難しい内容でしたが、国際社会に身を置くものとして、決して我々にとっても他人事ではありません。そんな現実に対し、私たちには何が出来るだろうかと考えさせられる機会となりました。
映画上映ののち、スーダン・南スーダンにて国境なき医師団ロジスティシャンとして活動されていた、川内勇希氏(元青年海外協力隊タンザニア隊員 職種:自動車整備)にお越し頂き、両国の現状に関しご講演頂きました。まず、国境なき医師団に関しご説明頂き、団体として行われている支援活動についてや両国の文化的背景・宗教等について、両国に於いてのロジスティシャンとしての活動に関してお話されました。その後JICA海外協力隊での活動紹介や、協力隊からのキャリアチェンジのお話を分かりやすくお話頂きました。ご参加頂いた皆様からも積極的な質問が出され、活発な質疑応答の場となり、現地状況や川内さん自身について、それぞれでの活動内容に関して、深く知る事の出来る機会となりました。
ここで、参加いただいたみなさまの声を紹介します。※一部抜粋
・映画で南スーダンの状況をだいたいわかってからの、川内さんのお話だったので、話がわかりやすかったです。南スーダンについて、分離・独立したくらいしか知らなかったので状況を知れてよかったです。(30代女性)
・いい映画とお話でした。ありがとうございました。(60代男性)
・映画の話から,経験者の川内さんの話まで12歳の私には将来を考えていく中でとても参考になりました。(10代女性)
・グオル氏はアメリカ行きの難民に選ばれたということでしたが、その選考はどのように行われたのか気になりました。そして、選ばれなかった人たちのことを思うといたたまれないです。そして、難民をほとんど認めない日本という国のあり方を考えさせられます。軽くしか触れられていませんでしたが、壮絶な過去のことを語るのはものすごく大きな精神的負担だと思います。彼と南スーダンの今後が幸せであるように願っています。(40代女性)