今年のノーベル平和賞を受賞したコンゴのデニ・ムクウェゲ医師。
ちょうど上映会の約1週間前に彼のノーベル平和賞が決まりました。
紛争の続くコンゴで酷い性暴力が続いている中、どんな風に被害者の女性が再生して行くのか興味がありました。
映画が終わった直後は、あまりにものコンゴの惨状にみんな言葉が出ませんでした。
コンゴ について何も知らなかったけど、そこで起こっている性暴力はあまりにも残虐で酷かった。
隣国ルワンダの内戦の余波がコンゴに及び、こんな惨劇が続いていたなんて知らなかった。
鉱物資源を巡って内戦状態になっていて、その背景に利益追求の世界経済が絡んでて、出口の見えない救いのない状態になっている重苦しい現実を知りました。
そんな中でも、デニ・ムクウェゲ医師の治療や精神的なサポートにより、救われ、生きる力を取り戻して生きている女性が沢山いることに、見てる私達が救われる様でした。
治療をしながら、傷ついた女性の身体と心の痛みを一番感じて来たのはデニ・ムクウェゲ医師。
男性に傷つけられた、やり場のない怒りや悲しみを、同じだけ感じ、理解してくれる男性がいる事に、コンゴの女性達はどれだけ救われ癒されて来たでしょう。
自分達の痛みを理解し、命を支え、守ってくれる男性がいたことで、男性全てを憎むことなく、男性に対する安心と信頼を失わずに済んでる事は大きいと感じます。
『本当の価値は身体の純潔じゃなく、あなたの中に輝きや美しさがあって、それは誰にも奪う事も傷つける事も出来ないのだよ。』
自分達の痛みを心底理解してくれてる男性の言葉だから、彼女達の命に届き、尊厳を取り戻し生きる力を与えられるのだと感じました。
デニ・ムクウェゲ医師の健全な父性に心も身体も救われて、女性達は生きる力を呼び覚ましている。
また、村の男性達も妻を娘を母を守るのは男、自分達の力で村の女を守るんだと父性を立ち上げていく姿に、胸が熱くなりました。
性的に傷つき、女性としての価値を失ったと感じてる女性には、健全な父性のサポートが救いになるのだと感じました。
男性に傷つけられた女性は、男性によってじゃないと完全に癒せないし救われない。
こんな惨状の中でデニ・ムクウェゲ医師が女性を修復してくれること、彼の存在が世界の救いでした。
私達に出来る事は、コンゴの現実を知ること、痛みを理解すること。
世界で起きている人間性を全く失ったあまりにも酷い暴力。確かに許される事ではない。
でも、加害者の奥に、そこまで人間性を無くして残虐行為が出来てしまう程の深い痛みや悲しみ苦しみが眠っている事を理解していく事も大切だと感じます。
上映後のシェアは、ディープな空間になりました。
大学の講義の一環で鑑賞しました。机上で性暴力について学んではいましたが、実際の映像を目の当たりにすると、ただひたすら言葉を失いました。もし自分が被害者の一人だったら…
20年以上続くコンゴ紛争。その中で年齢や性別を問わず、老若男女が性暴力の被害に遭っており、コンゴは「女性にとって世界最悪の場所」とも言われています。今なお続いているコンゴ紛争を、私が今の今まで知らずにいたことにも衝撃を受けました。作品中で、被害にあった多くの少女たちが将来に希望を見出せずなき苦しんでいる姿を見ると、他人事としては到底受け取れませんでした。
作品中には実際の状況を「ありのまま」に伝えているため、所々に過激な映像もあります。しかしながら、問題をきちんと受け止めることができるという観点から、大変意義のある作品だと思います。
多くの情報がありふれている今日、まず重要なのはそこにある問題をきちんと「問題」として認識することだと思います。是非一度手に取っていただくことを強くお勧めします。