変化し続ける箱崎の街を中心に据えて、多様な人々が暮らす「まち」を、いかに多様な人々と一緒につくっていくのか・・。
今回も映画の鑑賞をきっかけにしながら、ご参加いただくみなさんと対話をする中から大切な指針や価値観を探っていきました。
今回も映画の鑑賞をすることから思考の旅をスタート。
鑑賞したのは「 バベルの学校 」です。
アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国…。世界中から11歳から15歳の子どもたちがフランスにやって来て、パリ市内にある中学校の同じ適応クラスで一緒に過ごすことになる。 24名の生徒、20の国籍…。この世界の縮図のような多文化学級で、フランスで新生活を始めたばかりの十代の彼らが見せてくれる無邪気さ、熱意、そして悩み。
果たして宗教の違いや国籍の違いを乗り越えて友情を育むことは出来るのか…?といった、つい抱いてしまう先入観をいい意味で裏切り、私たちに未来への希望を見せてくれるドキュメンタリー作品でした。
鑑賞後は恒例のトークタイム。今回も参加者のみなさんからたくさんの素敵なお話が飛びだしました。ここでは、その一部始終をご紹介します。
「ー まずは「接点」を。歩み寄れる場を積極的につくる
ご参加者:職場が多国籍な状況なので、日頃からコミュニケーションの取り方を意識しています。感謝の気持ちを持つとか、笑顔や挨拶…。人と人が関わり合う上で当たり前のことこそ、大切にしています。また、箱崎、まちというところでは、あまり意識して接点を持てていないので、もっと違いを知り、お互いに歩み寄れる企画や場があるといいなと思っているところです。」
「ー 一方的に押し付けるのではなく、お互いが価値観を提示し合う
ご参加者:箱崎は外国の方が非常に多いですが、日常的な関わりという部分では、つい(ルールを守らないなどの)「問題」に話題が行きがち。でも、そういった部分についてももっとお互いあゆみ寄れる部分があるのかな?と思いました。
今回の映画の中の(子供たちが所属する)「適応クラス」は、フランスで暮らし学ぶ上でフランスの言葉や文化に適応していくためのクラスではありながらも、それぞれのバックボーンも取り上げて、そこの議論をしっかりしていく土台があるように感じました。そういう意味では、日本においても外国の方に日本のルールを伝えていくだけではなく、お互いが文化や習慣、価値観を提示しあっていくことが大切だと思うし、そういう場が必要なのではないでしょうか。」
「ー 多様性はメリット
ご参加者:現在の箱崎に目を向けると、福岡市で一番外国人比率が高い東区の中でも色濃く高い地域。昔から箱崎はいろんな国の方が混じり合って発展してきた歴史がありますが多様性はメリットだと思うので、そのメリットを活かしたまちづくりができるといいのではないでしょうか。まちが成長していくためには多様性が必要だと思いますし、福岡は政策として「スマートイースト」がありますが「スマート」は多様性のためにあると思うので、そのことを念頭に置きながら、今後もこういう場で意見交換をしていければと思っています。」
「ー 目的を共有することで生まれる絆
ご参加者:目的を共有するから友達になれたり、認め合ってがんばっていけるのではないかと感じました。箱崎に関しても、このまちから何を変えていくのか?、こんなまちにしていこう!…、そんなメッセージが生まれていくことで共感し合えたり、それを成し遂げるために多様性を認め合って、その先でおもしろいまちになっていくのではないか?そんなことを感じました。」
今回もオンラインでの限られた時間ではありましたが、本当に感慨深いお話がたくさん飛び出しました。
文化や宗教という壁を越え、彼らはお互いをわかろうと不器用に衝突を繰り返している。
たまにふとみせる寂しげな表情に、移民としての辛い過去を垣間見て、胸がつまるようでした。
たどたどしく、それでもひたむきに。
自分を主張していこうと懸命にもがく彼らに、強さをもらいました。
人は、こうも強くあれるものかと感じさせてもらいました。
そして、彼らそれぞれを見据え、あらゆる偏見、差別の類いを度外視して、個人として生徒に向き合う先生の姿に教育者の鑑をみました。
最後のシーンは、涙をこらえられませんでした。
必見です。