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リベリアの白い血

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リベリアの白い血

ジャンル 平和 人権 その他
時間 88分 製作年2015  監督 福永荘志

ベルリン、カンヌが惚れた若手日本人監督と、
制作中に病死した天才カメラマンによる心魂のフィルム!

NYを拠点に活動している監督の福永壮志は、本作が長編デビュー作ながらその手腕が認められ、ベルリン国際映画祭パノラマ部門に招待された。
また『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督などを輩出した、カンヌ国際映画祭が実施する若手監督育成プログラムに選出され、いま欧米で注目を高めている日本人監督である。
そして撮影の村上涼もまたNYを拠点に世界での活躍を期待された逸材だったが、リベリアでの撮影中にマラリアにかかり、悔しくも33歳という若さでこの世を去った。

Screening Information

上映会 開催者募集

© 2017 ニコニコフィルム

About the film

あなたの知らない“移民”の世界がここにはある。

本作は内戦の傷痕が色濃く残るリベリアで、政府公認の映画組合と共に制作された初めての映画である。後半には移民の街・NYに舞台を移し、アメリカで生きるアフリカ系移民の日常が鮮烈に描かれる。

主人公・シスコを演じるは、自身もゴム農園で働いた経験のあるリベリア人のビショップ・ブレイ。映画初出演ながら堂々たる演技で、リベリアとNYで揺れる男の感情を見事に体現した。また日本でも根強い人気を誇る元バトルスのタイヨンダイ・ブラクストンが音楽を担当し、映画を引き立たせている。

More info

リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは過酷な労働の中で家族を養っていた。
仲間たちと共に労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらない。
そんな時シスコは従兄弟のマーヴィンからニューヨークでの生活のことを聞き、より良い生活のために愛する家族の元を離れ、自由の国アメリカへ単身で渡ることを決意する。
NYのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコ。
移民の現実を目の当たりにしながらも、都会の喧噪や多種多様な人々が住むこの地に少しずつ順応していく。
しかし、元兵士のジェイコブとの予期せぬ再会により、リベリアでの忌々しい過去がシスコに蘇ってくるのだった…。

Data

原題 Out of My Hand 製作年 2015
製作国 アメリカ 制作 ドナリ・ブラクストン/マイク・フォックス
配給 ニコニコフィルム 時間 88分

Cast & Staff

監督 福永荘志 製作総指揮 ジョシュ・ウィック/マシュー・パーカー
プロデューサー 原作
脚本 福永荘志/ドナリ・ブラクストン 音楽 タイヨンダイ・ブラクストン(元BATTLES)
撮影 村上涼/オーウェン・ドノバン 編集 ユージン・イー/福永荘志
キャスト ビショップ・ブレイ/ゼノビア・テイラー/デューク・マーフィー・デニス/ロドニー・ロジャース・ベックレー/デイヴィッド・ロバーツ/シェリー・モラド

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上映会主催者の声

上映会を主催された方の声を紹介します
結末シーンが、意味深?
みどりアートパーク 2024年05月08日
正直、鑑賞された方々の意見が割れました。。。。
ドキュメンタリー映画ではなかったのですが、移民問題となると遠い異国の非日常、、、と片づけてしまいがちな我々日本人に、現実を突きつけた力作・秀作だったと思います。主演のリベリア人俳優さんの真摯な演技にも心打たれました。一方、「事故に遭った人間を放置するなんて」という意見や、「いやあれは、リアルだ。現実はもっとシビアだ」「素晴らしい上質な映画を見せてもらった」という意見もあれば、「何が言いたいのか、わからなかった」という感想を漏らすお年寄りも複数人、いらっしゃいました。
私自身は、意見が割れるというのは、それだけ映画が優れている証であり、観た人に何かしらの印象を植えつけることに成功(問題提起)したのだと思います。若い日本人監督の、今後の活躍に期待大です。

 2024年02月01日
当日は平日夕方からの開催にも関わらず、70名の参加者で盛況でした。作品自体は音楽は控えめで、映像を通じてこちらに考えさせる余白のある内容でした。特にリベリアのシーンは人々の日常生活が丁寧に描かれており、作り手の思いが伝わってきました。上映後の研究者による解説も盛り上がりました。歴史的背景や色々な場面の解釈を巡って、解説者と参加者が一緒に考える感じで、作品自身とリベリアについての理解が一層深まり、有意義な時間でした。自主上映会で、上映後にこのような時間を設けることができるのは、本当に勉強になると再認識できました。今回のような上映会を、今後も続けていきたいです!


安らぎはどこにあるのでしょうか
2021ウナギネマvol.2『リベリアの白い血』

観終わった時、なんとも言いようのない感情が
胸の中にもやもやと残ります。
出口の見えない迷路でもがいているような感じ。

作品中で主人公のシスコが、
行き止まりの道に入るシーンがありますが、
まさにこの作品の象徴とも思える場面です。

リベリアでは貧しいゴム農家として、
日の出前から日が沈んだ後まで働いて、
それでも貧しさからは抜け出せない。

搾取されている現状を打破しようと立ち上がるが、
より強い圧力によって仲間が1人ずつ減り、
同時に仲間からの信頼も失われていく。

逃げるようにして訪れたニューヨークは、
まったく別世界のように豊かな毎日。
ただそれを楽しむことができたのはわずかな時間。

いつまでも、どこまでも、
振り切ってきたはずの過去が追いかけてくる。
シスコの心が休まる場所も時間もありません。

リベリアにいたときのシスコの目は輝いていました。
子供たちのために現状を変えなくてはいけない。
その熱い思いで先頭に立って行動していました。

しかし、変えたいけれども変えられない。
ニューヨークに行ったシスコの目は
日に日にどんよりと曇っていきます。

平等の国、多様性の国アメリカ。
短期の旅行者にはいいが、
そこで暮らす意味には冷たい国だと、
留学経験のある知人は言っていました。

リベリアでの生活は過酷でも、そこに家族がいました。
アメリカでの生活は別の過酷さがありました。
物質的に満たされても、精神的に追い詰められる。

電話機能しかない携帯を使っていたシスコが、
最後の場面で手にしているのはスマホです。
でも、呼び出しても家族は出てくれません。
古いケータイのときは嬉々として出てくれたのに。

監督が日本人ということも関係あるのか、
少ないセリフの中でストーリーは進んでいき、
観ている私たちはそれぞれのシーンの意味を考えさせられます。

映画のラストは、パンクしたタイヤを交換するシーン。
黙々と作業するシスコの姿に、
私たちはどんな意味を感じたのでしょうか。

タイヤのように、役に立たなくなれば
すぐに新しいものと交換させられるのが移民ということか。
それとも、都合の悪いことは捨ててしまって、
新しいタイヤで何もなかったように振る舞うということか。

あなたはどう感じて、どう行動するのか、
それを一人一人の心に訴えかけてきます。

あなたはこの作品をどのように観ますか?

「夢を求めて移住したが、あったのは厳しすぎる現実。
これは、繰り返されてきた歴史のはず。それでもなぜ、リベリアの人は移住しなければならないのか」。
こんな感想が寄せられた。