一人の医師の勇気ある行動が世界を動かし4万人以上の性暴力被害女性を治療した──
2018年ノーベル平和賞受賞!コンゴ人婦人科医のデニ・ムクウェゲ医師の命がけの治療を追ったドキュメンタリー。
本作は、暗殺未遂にあいながらも、医療、心理的、そして司法的な手段を通して、婦人科医のデニ・ムクウェゲ医師が性暴力の生存者を献身的に治療する姿を映している。それに加えて、生存者の衝撃的な証言、加害者の不処罰の問題、希望に向かって活動する女性団体、そしてこの悲劇の背景にある「紛争鉱物」の実態も描かれている。
参考リンク:
デニ・ムクウェゲ医師について(コンゴの性暴力と紛争を考える会)
http://congomm2016.wixsite.com/asvcc/dr-denis-mukwege
映画邦題について(コンゴの性暴力と紛争を考える会)
http://congomm2016.wixsite.com/asvcc/jp-title
「女を修理する男」(キャッチ!ワールドアイ) キャッチ!世界のトップニュース「特集・ワールドアイ」 NHK 解説委員室 解説アーカイブス
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/254409.html
About the film
コンゴ民主共和国で性的被害にあった女性達を治療するデニ・ムクウェゲ医師は、2012年に脅迫を受け一時は海外へ。しかし翌年には命の危険を冒して再びコンゴに戻る。そして命がけの治療を再開する───
More info
<「女性と少女にとって世界最悪の場所」とも描写されるコンゴ東部>
コンゴ戦争が勃発してから20年が経つ。その間、「紛争鉱物」の実態に関する認知は高まり、国際社会はその予防策に取り組んできた。しかしコンゴ東部の状況は改善されないまま、この地域に住む人々の苦しみは続き、大勢の女性、少女、そして男性が性暴力の被害にあっている。紛争鉱物、グローバル戦争経済と組織的な性暴力は相互関係にあるが、その事実はほとんど知られていない。
本作品は、暗殺未遂にあいながらも、医療、心理的、そして司法的な手段を通して、婦人科医のデニ・ムクウェゲ医師が性暴力の生存者を献身的に治療する姿を映している。さらに、生存者の衝撃的な証言、加害者の不処罰の問題、希望に向かって活動する女性団体、そしてこの悲劇の背景にある「紛争鉱物」の実態も描かれている。
<「ムクウェゲ医師は私にとって父親のような存在」とある患者は話す>
ムクウェゲ医師は1998年、コンゴ東部のブカブにてパンジー病院を設立し、これまで4万人以上のレイプ被害者を治療し、精神的ケアを施し続けてきた。また、国連本部をはじめ世界各地でレイプ被害に関する演説を行い、女性の人権尊重を訴えてきた。その活動が国際社会で評価され、これまで国連人権賞(2008年)、ヒラリー・クリントン賞(2014年)、サハロフ賞(2014年)などを受賞した。ノーベル平和賞受賞者の有力候補にも数回挙がっており、2016年5月のタイム誌に、「最も影響力のある100人」に選ばれた。2018年にはノーベル平和賞を受賞。
※一部刺激の強い描写もございます。12歳以下のお子様のご鑑賞は、
保護者の方、主催者の方の自主的なご判断をお願いいたします 。
監督:ティエリー・ミシェル 作家:コレット・ブラックマン、ティエリー・ミシェル
脚本:ティエリー・ミシェル、コレット・ブラックマン、クリスティーン・ピロ
2015年/ベルギー/112分 配給:ユナイテッドピープル
字幕:八角幸雄/監修:米川正子
総括:コンゴの性暴力と紛争を考える会
協力:クラウドファンディングの支援者、日本映像翻訳アカデミー
Data
原題 |
La Colère d'Hippocrate |
製作年 |
2015年 |
製作国 |
ベルギー |
制作 |
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配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
112分 |
Cast & Staff
監督 |
ティエリー・ミシェル |
製作総指揮 |
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プロデューサー |
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原作 |
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脚本 |
ティエリー・ミシェル、コレット・ブラックマン、クリスティーン・ピロ |
音楽 |
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撮影 |
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編集 |
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キャスト |
ティエリー・ミシェル
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
1983年創立の映画研究会の歴史においても恐らく初となる一般人も参加可能な医療映画上映会を医学部祭において開催した。
医療映画は数多くあるが、今回はムクウェゲ医師についての映画を上映する事となった。主な理由としては将来、医療従事者となる学生や医学部祭に来る一般の方達に何かを感じ取ってほしい事、ノーベル平和賞の実績や実際に行っている業績の割に日本ではあまり知名度が無い事が挙げられる。
映画研究会としても初の取り組みとなる上映会だったが、課題と成果の両方が得られた上映会となった。
まず課題としてはこれまで部内では映画上映会を行っていたが、学祭などで一般向けの上映会イベントを行っていなかったので、宣伝が後手後手になり、十分な宣伝効果を発揮できなかったことだ。
チラシやポスターをどこに貼って良いのか、どこに貼るのが効果的なのかも分からず直ぐに動けなかった事や、チラシやポスターの完成時期も遅かったので十分な宣伝期間を得られたとは言い難かった。また、SNSでの体外的な宣伝も人員不足の問題により、十分に出来たとは言い難い結果となった。
学内にはたくさんのポスターを貼ったり、学内メールを流したりしたが、タイトルが中々過激であるという意見を頂いたり、性暴力を扱った重い問題ということもあったのか、自大学生の参加人数があまり伸びなかったことは不本意であった。
一方で成果もあった。学内の大学教授達や他の看護学校の学生、一般の方達も一定数参加してくれたことだ。ムクウェゲ医師の劇中でのセリフ「純血はあなたの心の中にある」という言葉を取り上げて、全ての医学生に見て欲しいとまで褒めてくれた小児科教授の言葉にはとても励まされた。また、主に文化施設、コミュニティセンター、ミニシアターを中心としてチラシを貼らせてもらったのだがそれを見て参加してくれたと言ってくれた一般の方の言葉には、チラシを貼って回った苦労が報われた気がした。
医学科の学生で参加してくれた学生にも価値観が変わりそうなぐらい見ていて辛かったと意見を貰ったが、参加してくれた方々の中に何かしら残せたなら上映会を行った意義は大いにあったと感じた。
また今後もこうした事を行う場合は口コミ、ポスター、SNS等の宣伝については今回の反省点を活かしていきたい。
普段は子ども達を中心に学べる映画を上映していますが、今回はじめて大人だけで実施。
内容が身につまされるもので、エンディングロールの後しばらく静まりかえっていました。
上映後はいくつかのグループに分かれて意見交換。
戦時中の日本の話、性暴力の話など、重いテーマでしたが率直な意見交換となりました。
コンゴにおける目を覆いたくなるような悲惨な現状を目の当たりにして、映画が終わった後は会場は静まり返りました。
しかし、その後、地元宮崎で児童への性暴力対策の活動をしている方とのトークセッションの中で「自分たちも子どもを守るひとつのピースだ」というお話があり、微力ながらも無力ではない自分たちの存在に気づきました。
最後のワークショップでは、自分の経験から、自分の言葉で想いを語ってくださる方がたくさんおられました。
延岡の地で開催してよかったなぁと思いました。
上映後の意見交換会で出た意見
・今の日本がいかに法の支配のもとで安全であるかを実感した。
・紛争地では古今東西どこでも起こり得ること。旧日本軍も80年前に大陸でやったことだろうし、現在のウクライナでも起きている。
・問題はそうした人間の習性をどう抑えられるかだが、獣性ばかりではなく、理性を持つのも人間だから、抑えられるはずだ。
・この問題は温暖化のような問題より簡単だ。人間が人間としての理性を取り戻せば、今すぐにでも解決できる(もちろん、経済や文化や歴史等の要素要因が複雑に絡み合っているのだろうから、容易ではないが)。
・映画のタイトル「修理」の印象が良くない。どうして、こんな言葉を使ったのか。
・あえてショッキングな言葉にしたのだろうが、それを用いることにした人の女性に対する見方が見え隠れしているように思える。
なかなか集客には苦労しました。
テーマが重く、コンゴという馴染みのない国の
ことを取り扱った方でしょうか。参加者は1名ですが、
深い議論はでき、満足して頂きました。
大学の講義の一環で鑑賞しました。机上で性暴力について学んではいましたが、実際の映像を目の当たりにすると、ただひたすら言葉を失いました。もし自分が被害者の一人だったら…
20年以上続くコンゴ紛争。その中で年齢や性別を問わず、老若男女が性暴力の被害に遭っており、コンゴは「女性にとって世界最悪の場所」とも言われています。今なお続いているコンゴ紛争を、私が今の今まで知らずにいたことにも衝撃を受けました。作品中で、被害にあった多くの少女たちが将来に希望を見出せずなき苦しんでいる姿を見ると、他人事としては到底受け取れませんでした。
作品中には実際の状況を「ありのまま」に伝えているため、所々に過激な映像もあります。しかしながら、問題をきちんと受け止めることができるという観点から、大変意義のある作品だと思います。
多くの情報がありふれている今日、まず重要なのはそこにある問題をきちんと「問題」として認識することだと思います。是非一度手に取っていただくことを強くお勧めします。