1996年オスカー主演男優賞作品「シャイン」のモデルとなったデイヴィッド・ヘルフゴット氏とその妻、ギリアンの後日譚。旅と音楽との淡々とした日常が、静かにそのままに映し出されていました。 まるで音と遊ぶように、自分自身が音楽の一部であるように、とんでもない難曲を軽やかに(文字通り!)歌いながら弾くデイヴィッド。ギリアンはじめ周囲の関わる人々が、彼を精神障害の特異な人としてでなく、尊敬すべきタレントを持った独創的で愛に満ちた、そして本当に大切なことは全てわかっている知的で特別な人、として接していることが何より印象的でした。 どちらかと言えばジャズのような、自由なクラシック。生きる喜びと、とりまく世界への慈愛に溢れた、踊るような鳥たちがさえずるような音楽。共に演じるオケの奏者たちをも笑顔にさせるデイヴィッドのピアノの音色に、横並びの個性の時代、ここまで突き抜けた人と当たり前に生活していくことが、どれほど豊かなことかということを強く思わされました。 その一方で、全編つうじて感じていたのは、隔離されていた辛い日々は彼の中に残っているのか、愛に満ちた日々の中で昇華されたのか、ということ。願わくば後者であってほしい。単に蓋をしてその上の今の姿があるのではなく、全て越えた上での今であってほしい。 シャインに描かれたような過去については、深く掘り下げていなかったのはあえてでしょうか。意見の分かれるところかもですが、 私はそここそがこの2人らしいな、と思いました。今にフォーカスする。目の前の時間を喜びと感謝を持って過ごす。心がけます。
デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり のレビュー
まるで音と遊ぶように、自分自身が音楽の一部であるように、とんでもない難曲を軽やかに(文字通り!)歌いながら弾くデイヴィッド。ギリアンはじめ周囲の関わる人々が、彼を精神障害の特異な人としてでなく、尊敬すべきタレントを持った独創的で愛に満ちた、そして本当に大切なことは全てわかっている知的で特別な人、として接していることが何より印象的でした。
どちらかと言えばジャズのような、自由なクラシック。生きる喜びと、とりまく世界への慈愛に溢れた、踊るような鳥たちがさえずるような音楽。共に演じるオケの奏者たちをも笑顔にさせるデイヴィッドのピアノの音色に、横並びの個性の時代、ここまで突き抜けた人と当たり前に生活していくことが、どれほど豊かなことかということを強く思わされました。
その一方で、全編つうじて感じていたのは、隔離されていた辛い日々は彼の中に残っているのか、愛に満ちた日々の中で昇華されたのか、ということ。願わくば後者であってほしい。単に蓋をしてその上の今の姿があるのではなく、全て越えた上での今であってほしい。
シャインに描かれたような過去については、深く掘り下げていなかったのはあえてでしょうか。意見の分かれるところかもですが、 私はそここそがこの2人らしいな、と思いました。今にフォーカスする。目の前の時間を喜びと感謝を持って過ごす。心がけます。